「いとしのヒナゴン/重松清」を読んだ
三茶のTsutayaで、Popな装丁が好きになり読んでみた重松清氏の
「いとしのヒナゴン」<上/下>(文春文庫)について。
30年ぶりに現れた謎の類人猿"ヒナゴン"。広島県の架空の田舎町"比奈町"を舞台に、
元暴走族なヤンキー町長の"イッちゃん"、曾おじいさんの無念をはらすために類人猿課で働く"ノブ"、
その同級生で小学校の先生の"ジュンペ"と教育委員会に勤務する"西野くん"、そして類人猿課の課長"ドベさん"...。
ヒナゴン伝説をめぐり、市町村合併問題を背景に町長選は泥沼化していく。果たして、ヒナゴンは存在するのか。ヒナゴンを追いかけて、
少年の頃の自分を取り戻そうとする大人たちの物語。
ともかく、この本のテーマはまるまる信じること。信じた結果、裏切られてもいいじゃんってこと。信じないより信じたほうが、
楽しいじゃんってこと。
過疎問題、財政赤字、地方分権、Uターンなど、今の社会問題をからめつつ、
ふるさとや親しい人たちや友情や不思議なことを信じることを、思いっきり過激にかつハートウォーミングに描かれている。
で、自分が小学生だった頃は、まさに著者とほぼ同世代で、
"ノストラダムスの大予言"とか"未知との遭遇"とか"ツチノコ"とか"ユリ・
ゲラー"とか"口裂け女"とか"こっくりさん"とか"エクソシスト"とかが大ブーム。その当時、
学研のジュニアチャンピオンコースから出てた「もしもの世界」って本、
ボロボロになるまで読んでた。「もしも太陽がなくなったら...」とか「もしもペストが流行したら...」とか
「もしも酸素がなくなったら...」、ほんとドキドキしながら読んだもの。この手の不思議な話、今で言えば、
都市伝説っていうものかと思うけど、きっと永遠に変わんないだろな。
ともかく、最後近くのシーンで、嗚咽するほど涙が出ました(笑)。本読んで、こんなに泣けたのは「沈まぬ太陽」
以来かも。とても懐かしく、スカッとした気分になれる本だと思います。
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Comments
重松清、危険だなあ。
ほとんど同年代、地方出身、W大学卒、幼い頃吃音癖あり、今住んでるのも同じような地域らしい、で、「流星ワゴン」だの、「半パンデイズ」だの読むともうだめです。エッセイ?で「ニッポンの課長」ってのあったり。目線が同じすぎて毎回泣かされます。
Posted by: urayasu_papa | Thursday, November 22, 2007 01:05
>urayasu_papaさん
はい、ちょっと来ますよね、この人。
で、この人の触れ幅、凄いと思います。今、「疾走」熟読中なんですけど、やばいです。こんな悲惨で救いがない小説、めったにめぐり会えないと思います。一方で、この「ヒナゴン」などの大人のファンタジー系もありますし。
ちょっとはまってます。
Posted by: emam | Thursday, November 22, 2007 22:56