「孤独か、それに等しいもの/大崎善生」を読んだ
最近いい感じになってきて、これも先日の上海出張で読み終えた大崎善生氏の短編集
「孤独か、
それに等しいもの」(角川文庫)について。
豊平川の水面に映る真っ青な空と堤防を吹き抜けるつめたい風のもと、高校3年生の9月のある日、
ピアスの穴を開けようとする私に向かって、「大事なものを失してしまうよ」と、かつての恋人は言ったのだ。(from「八月の傾斜」)。
この短編集、孤独とか憂鬱とか喪失に傷つき、そこから再生していく5つの物語が収録されている。その過程において、
5人の主人公は激しく傷つき、精神的な病気に陥って、残酷な状態が描かれている。ただ、暗くて残酷なんだけど、
文章自体にどこか透明感があって、その残酷さが平熱的に描かれている。そして、淡々とかつ確実にゆっくりと柔らかな光が差し込んで、
自然と回復して、一歩一歩再生し、立ち直っていく。だから、読後感がどこか爽やかだった。
大崎善生氏の小説、ここ最近何冊か読んできたけど、さらーっとしてて、なにかがひっかかる。きっと器用なひとなんだろ。
これからもさらーっと読んでいこう。
cf.大崎善生 読破 List
- ロックンロール
- パイロットフィッシュ
- アジアンタムブルー
- 孤独か、
それに等しいもの
追記:本日手に入れたCD/DVDは以下。後でじっくり書きます。
・ Neo Yankees' Holiday/Fishmans(1993/Album)
・ Orange/Fishmans(1994/Album)
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