「夏の庭-The Friends/湯本香樹実」を読んだ
二子玉川の紀伊国屋書店で買い、先日の上海出張で読了した湯本香樹実氏の
「夏の庭-The
Friends」(新潮文庫)について。
小学6年の夏、ぼくと山下と河辺の3人は、人が死ぬ瞬間を見てみたいという好奇心から、
町外れで屍のよう生きているおじいさんを「観察」することに。一方、観察されていると気づいたおじいさんは、
憤慨しつつもやがて少年たちの来訪を楽しみに待つようになる。ぎこちなく触れあいながら、少年達の悩みとおじいさんの寂しさは解けあい、
「観察」は「交流」に姿を変え、忘れられないひと夏の友情が生まれる。
少年たちは老人から、家の手入れのしかた、庭の手入れのしかた、包丁の使い方、草花の名前、そして戦争のむごたらしさを学ぶ。
そして主人公の少年"ぼく"は、父親に将来の夢を聞かれ、小説家になりたいと答える。「忘れられないことを書きとめて、
ほかの人にもわけてあげたらいい」。なんか素敵な言葉だ。で、一方、生きる屍だった老人は、人と交流して、生きることに必死になって、
生を享受しようとしだす。そんな奇妙な交流と友情が瑞々しく描かれてる。
自分のおばあさんが亡くなったのは、中学生だった頃。学校に連絡が入り、急いで家に帰ったら、亡くなってた。
これが自分の初めてみた"死んだ人"だったかも。なんか力が抜けて、その時は涙が出なかったけど、棺にふたを閉め、釘がうたれるとき、
初めて涙が出た。そんなことを思い出した小説。
で、この小説、まさに日本版"Stand By
Me"といった少年達の物語。次回八王子に帰ったら、おばあさんのお墓参り、しようかな...。
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