「九月の四分の一/大崎善生」を読んだ
三茶のTsutayaで買った大崎善生氏の短編集
「九月の四分の一」
(新潮文庫)について。
これ、4つの清冽で余韻が残る恋愛短編集。
箱根の彫刻の森美術館と思われる設定で、3人の男女のすれ違いと喪失と哲学と見栄を描いた"報われざるエリシオのために"。
60年以上も昔に異国で生きてゆくことを決めた日本人のドラマティックな人生と、
彼と彼を支える女性との強い愛情を描いた"ケンジントンに捧げる花束"。
北海道の小さな公園から始まった天才女性シンガーとの交流を描いた"悲しくて翼もなくて"。そして、
ブリュッセルでの思わぬ男女の出会いと接近と別れ、彼女の残したメッセージに隠されたもの。
それらが十数年の時を経て明らかになる"九月の四分の一"。
どの話も、残酷な「喪失」を描き、人はいろんな形ときっかけでなにかを見出し、「再生」していく。で、どの話もThe
Beatlesの"If I Fell"、The Rolling Stonesの"Ruby Tuesday"、Red
Zeppelinの"Rock'n Roll"、そしてABBAの"Dancing Queen"が流れてる。そして、
過去と現在を交互に一人称で語り、両方の時間が同じスピードで流れていく。そんな4つの短編集。
で、"ケンジントンに捧げる花束"に「"距離と積み込む荷物の重さにさえ注意していれば"人とつきあえる」
みたいな言葉があった。なんかひっかかったなぁ~。
cf.大崎善生 読破 List
- ロックンロール
- パイロットフィッシュ
- アジアンタムブルー
- 孤独か、
それに等しいもの
- 九月の四分の一
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