「空中ブランコ/奥田英朗」を読んだ
JR品川駅構内のBook Expressをうろついてるとき、
最近文庫化された奥田英朗氏の
「空中ブランコ」
(文春文庫)を発見し、購入。これについて。
キャッチャーである相方を信用出来ず、飛べなくなった空中ブランコのり(from「空中ブランコ」)、傘、
針などすべてのとがったものが怖くなった先端恐怖症のヤクザ(from「ハリネズミ」)、
養父であり学部長のカツラを剥ぎ取りたい衝動に苦しむ大学病院の精神科医(from「義父のヅラ」)、
突然コントロールが悪くなり一塁に送球できなくなったプロ野球の名三塁手(from「ホットコーナー」)、
かつて同じようなことを書いたかどうかわからなくなり、小説が書けなくなった女流作家(from「女流作家」)。
そんな神経症を抱えた患者達が、精神科医"伊良部一郎"を訪ねてくる。
現代社会の抱える問題を常軌を逸したやりかたでなんとなく解決していく、そんな物語。
現実的にはこんな精神科医はいないと思うんだけど、この患者たちの抱える問題は、そのまんまじゃないけど、
ほんと自分にもあてはまることばかり。確かに会社に入ったばかりの頃、大先輩をいじりたくなったりしたし、今でも、
無性に落書きしたくなったり、相手に不信感が生まれたりってこと、たまにある。で、人に愚痴をぶちまけたりして、なんとなく解決していく。
もちろん、伊良部氏の治療との大きなレベルの差はあれ、話した相手に癒されて、治癒されているんだろな。
で、この伊良部シリーズ、第3作として"町長選挙"があるらしい。いつか文庫化されたら、絶対読もう。というわけで、
このシリーズ、相当お勧め。
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