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Friday, March 28, 2008

「神の子どもたちはみな踊る/村上春樹」を読んだ

  三茶のTsutayaでボーっと本を探してるときに目に入って読んでみた村上春樹氏の 「神の子供たちはみな踊る」 (新潮文庫)について。
  この短編小説集は、連作"地震のあとで"その一~その五として、「UFOが釧路に降りる」、「アイロンのある風景」、 「神の子どもたちはみな踊る」、「タイランド」、「かえるくん、東京を救う」の5作が収録され、これに加えて「蜂蜜パイ」が入ってる。 いずれも、1995年1月に起こった阪神淡路大震災に共鳴・共振した喪失感の物語。地震についての直接的な描写は無く、その地震に共振して、 精神的な打撃やトラウマや生きることの辛さを被った人々が描かれてる。
  自分が好きなのは、この3つ。まずは「タイランド」。心の中に憎しみや負の感情という"石"を溜め込んだ女医の物語。 #あなたの中の「石」を捨てなさい。そうしないと死んで焼かれた後に「石」だけが残ってしまいます#。この言葉、いい言葉です。やはり、 石は早めに捨ててしまい、穏やかに生きて最期の日を迎えたいもの。ただ、石の捨て方は、この小説にはなく、自分で探さないといけない...。
  続いて、「かえるくん、東京を救う」。#あなたのような人に声援してほしい#。 そんなふうにかえるくんを含め誰かに言われたら、もうやるしかないな。がんばっているのに報われない、 そんな気分の時に読むと元気が出そうな小説。
  で、最後に収録されてる書き下ろし作「蜂蜜パイ」。この短編集で唯一の希望や未来で締めくくられた小説。 主人公淳平が最終的に生への意志を手に入れるLastの夜明けのシーンがちょっと味わい深い。
  というわけで、この短編集、暗くて哀しい作品集だけど、それだけあの震災はひどかった。自分もTVで観まくったり、 その時関西に出張に行ってた仲間の安否にハラハラしたり、先輩の奥さんのご両親が震災でお亡くなりになったりと、忘れられない事件。 やはり忘れてはいけないことの一つ。

cf.村上春樹 読破 List
- アフターダーク
- 海辺のカフカ
- Mr.and Mrs.Baby and Other Stories-犬の人生/Mark Strand-マーク・ ストランド
- 東京奇譚集
- ふしぎな図書館/村上春樹・ 佐々木マキ
- 神の子供たちはみな踊る

追記:というわけで、今週水曜日3/26から今日までの2泊3日で、人生11回目の中国出張に。ふぅ、お疲れさまっす。

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