「優しい子よ/大崎善生」を読んだ
なんとなく自然にはまってる大崎善生氏。
で、世田谷中央図書館で借りた「優しい子よ」
(講談社)について。
これ、不治の病 癌性悪液質"に冒されながらも、自分のことより妻の健康を気づかう"優しい子よ"、
TV界の名プロデューサーとの交流とその死を見つめた"テレビの虚空"と"故郷"。そして、
自分の子どもの誕生までの夫婦の絆を描いた"誕生"の人間の生と死を見つめた4作が収録された小説集。
この本、私小説なんだけど、限りなくドキュメンタリーでノンフィクションな小説。"テレビの虚空"と"故郷"については、
亡くなったテレビ制作者・音楽プロデューサー萩元晴彦氏との交流と彼を慕う物語。
大崎善生氏の"聖の青春"(まだ読んでない...)の原作に惚れ込んだ萩元氏との何気なく、ちょっと強引なつきあいをやさしく、
ゆったりと描き、亡くなった萩元氏の人生を遠い目をしながら見つめて、追っかけている物語。
で、26歳の女流棋士だった高橋和氏と45歳で初めての結婚した大崎善生氏。
"誕生"は、その夫婦が子どもを生むまでの日々をゆったりと力強く描かれてる。
そして、自分が一番好きというか、涙が出てしまったのは表題作"優しい子よ"。ちょうど砧公園で花見をしながら読んだのだけど、
もうやばいくらいに哀しくて、優しくて、揺さぶられてしまいました。
自分が大崎氏と出逢ったのは「ロックンロール」
という、単に本屋でタイトルと装丁にひかれただけで買った文庫本。で、何冊も読んでいくうちに、出逢った今回の「優しい子よ」。この本で、
初めて大崎氏のことがわかった気がする。大崎氏の描くやりきれない思いがあふれているのに、静かにゆったりとした世界。
まだまだ読んでいない本もたくさんある。ちょっと幸せかも。
cf.大崎善生 読破 List
- ロックンロール
- パイロットフィッシュ
- アジアンタムブルー
- 孤独か、
それに等しいもの
- 九月の四分の一
- ドイツイエロー、
もしくはある広場の記憶
- 別れの後の静かな午後
- 優しい子よ
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