「東京物語/奥田英朗」を読んだ
三茶のTsutayaでひっかかってひさびさに読んでみた奥田英朗氏の
「東京物語」
(集英社文庫)について。
これ、いわゆる青春グラフィティ小説。1978年4月親の反対を押し切って上京した主人公 田村久雄は、
バブル期を迎えた80年代の東京で、戸惑いながらも少しずつ大人になっていく。そんな話。
自分よりは微妙に年上な奥田氏だけど、この小説で書かれてる70年代、80年代の匂いって、思いっきりReal Time。
"Walkman"(高校生のとき友達に借りたWalkmanII、ほんとこれでRockを聴きまくった)、"エイリアン"(中学生のとき、
ニュー八王子という映画館で観て、びびりまくった)、"有楽町マリオン"(大学のとき、友達と初めてここで観た映画は"ラスト・
エンペラー"だった)、"John Lennon暗殺"(あのときは高校生。すべてのNews番組で"Imagine"が流れてた)、
松田優作氏の"ブラック・レイン"(社会人1年生の冬。最初の酒場でのシーンで優作氏の目を剥いた演技は忘れられない)、"Rolling
Stones初来日"(これも社会人1年生の冬。1万円くらいする東京ドーム公演だったけど、2回観に行った)。
そんなあの頃のイコンや記号や空気が満載な小説。
この本の解説にも書いてあったけど、ベルリンの壁が壊れたときは、バブルの前兆もあり、
これから世界には明るい未来がきっと来ると漠然に感じた大学4年のころ。就職先も決まって、
NYCとかに旅行するためのお金もそこそこ貯まって、なんとなく学生最後を楽しもうかと思ってた。でも、あれから20年近くが経って、
バブルはぶっとんで、チベットでは騒乱が起きて、ガソリンは上がったり下がったりしてる。でも、変わらずに自分はRock
Musicを聴き続けている。なんか感慨深かったです、この本。
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