「将棋の子/大崎善生」を読んだ
これで10冊目の大崎善生氏。
で、今回は世田谷中央図書館で借りた「将棋の子」
(講談社文庫)について。
これ、プロの将棋の棋士への登竜門である奨励会(正式名称は社団法人日本将棋連盟付属新進棋士奨励会とのこと、
長い...)での、知られざる凄まじい競争社会の実態。しのぎを削るまさに"トラの穴"。
夢破れて退会していくものたちを追ったノンフィクション小説。
自分は子どものころからまったく将棋をやったことがなく(小学生のとき、Chessはちょっとだけやってたんだけど...)、
この将棋に関する知識は皆無。名人戦とか羽生善治氏とかなんとなく聞いたことあるけど、ほとんど言葉が通じない状態。
そんな自分でも感動できたこの小説。
で、この奨励会の厳しさは、昇段にあたっての年齢制限のBorderlineがあり、
全国から集まってきた将棋の天才少年たちが戦い、年齢制限の壁を越えられずに退会していく。で、この小説は、
プロのなれなかった成田英二氏を中心に彼らのその後の壮絶な人生を描いてる。学歴もなく資格もなく、社会的な常識もなく、
社会のどん底に落ちていく。で、彼らがどん底から這い上がっていく姿を、将棋連盟に勤め、少年たちの姿を見つづけてきた大崎氏が、
暖かく見守り、応援している。
夢がかなったもの、かなわなかったもの。いいノンフィクション小説でした。
cf.大崎善生 読破 List
- ロックンロール
- パイロットフィッシュ
- アジアンタムブルー
- 孤独か、
それに等しいもの
- 九月の四分の一
- ドイツイエロー、
もしくはある広場の記憶
- 別れの後の静かな午後
- 優しい子よ
- ドナウよ、
静かに流れよ
- 将棋の子
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