「最悪/奥田英朗」を読んだ
結構Heavyだった「邪魔」
に続いて読んでみた奥田英朗氏の
「最悪」
(講談社文庫)について。
不況にあえぐ零細下請けの鉄工所社長の川谷は、騒音をめぐる近隣との軋轢や取引先の無理な頼みや誘いに悩み続ける。
銀行員のみどりは、妹との関係とか家庭問題や上司によるセクハラとかしつこい孤独な老人とかに悩み続ける。そして、
パチンコに明け暮れていたチンピラの和也は、盗んだトルエンを巡りヤクザに弱みを握られ、奴らからの容赦ない要求に悩み続ける。
小さなつなずきが、雪だるまのように膨らみ続け、落ちていく。そんなCrime Novelがこれ。
ともかく、この本、文庫本で600page以上もあり、分厚い大作。でも、この3人をめぐる物語を、
丹念に丁寧にしかも笑えるような乾いた感じで描写されてる。で、その3人が、それぞれなんとかまっとうに生きているつもりなのに、
やることなすことがすべて裏目裏目になっていく。そして、まさに"最悪"なことが、これでもかと思うほど重なって、加速度がついて、
犯罪へと落ちていく。で、読むこっちは、Speed感あふれる展開に、読むことがやめられない、止まらない状態に。
ふぅ、読み終えたあとの充実感、最近では最大級。ごちそうさまでした。
cf.奥田英朗 読破 List
- サウスバウンド
- イン・ザ・
プール
- 空中ブランコ
- 東京物語
- 邪魔
- 真夜中のマーチ
- ウランバーナの森
- 最悪
PS.明日7/9(水)から11(金)まで、人生12回目の中国出張。洞爺湖サミットということで、成田は厳戒中らしいし、 北京オリンピック間近ということで、上海の入管は厳しいらしい。ともかく行ってきまーす。
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Comments
中国出張頑張って!気を入れなおして!
Posted by: ogikubochibochi | Wednesday, July 09, 2008 00:03
>Ogikubochibochiさん
あはは、ご心配いただき、すいません。
とりあえず、中国行って、O先輩と議論をしてきます。
Posted by: emam | Wednesday, July 09, 2008 02:45