« 「Real/8otto」を聴いた | Main | Shang-hai 1st Day »

Monday, September 01, 2008

「Zoo1・Zoo2/乙一」を読んだ

  今までなんとなく気になってた乙一氏。きっと怖いんだろうなと思って、 今まで避けてきた作家。でも、「夏はホラー」ということで世田谷中央図書館で借りた2冊の短編集「Zoo1」 ,「Zoo2」 (集英社文庫)について。

  とりあえずひっかかった作品を。まずは「Zoo1」から。
  "カザリとヨーコ"。妹は母親に可愛がられるが、姉は虐待を受け続ける。そんな双子姉妹の差別が描かれた話。 ちょっと先読みできるだけど、悲惨すぎてひっかかった。
  "SEVEN ROOMS"。見知らぬ男に閉じ込められた姉弟。その部屋は7つあり、一人ずつ順番に殺されては補充される。 溝に流れる死体の部位の表現など相当グロいし、残酷。異様な緊張感がひっかかった。
  "陽だまりの詩"。その病気に罹った人は例外なく2ヶ月で死ぬ。そんな疫病が流行った世界で、 彼は死んだ後に自分を埋めてくれるロボットをつくった。ロボットは死とか感情を理解できるのか。綺麗な表現にひっかかった。
  そして、「Zoo2」から。
  "冷たい森の白い家"。伯母の家に引き取られ、馬小屋で馬糞にまみれて暮らす少年。やがて馬小屋を追われて、 生きていくために森の中で家を建てようとする。少年は成長し、人を襲って、死体で壁を積み上げ始めた。グロテスクなんだけど、 妙な透明感がひっかかった。
  "神の言葉"。世の中に媚びへつらいながら生きてきた主人公は、 自分の声で生き物の行動を操れる能力を持っていることに気づく。嫉妬した同級生のアサガオを枯らし、凶暴な犬を手なずけ、母の精神を壊し、 父の指を落とす。罪悪感にさいなまれ、壊れていく主人公。スケール感のあるLastにひっかかった。

  救いようがないけど、不思議な透明感と空気感を感じたこの短編集。切ない言葉の美しさもいいと思うし、 "ZOO"と"乙一"をひっかけた表紙のGraphic Designは秀逸。夜、たまに思い出して、ゾクッとするけど、 なんかひっかかってしまった乙一ワールドでした。

追記:明日から2泊3日で、中国・上海出張。これで中国出張は13回目、上海は12回目。上海の天気予報を見ると、 34度と結構暑そう。最近の大雨雷雨豪雨で、少々涼しい東京に慣れた体は大丈夫なのか。とりあえず、行ってきまーす。

|

« 「Real/8otto」を聴いた | Main | Shang-hai 1st Day »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「Zoo1・Zoo2/乙一」を読んだ:

» 犬の病気について [ラブリードッグ~犬の愛情しつけ]
犬の病気はたくさんあります。私のところにも犬が2頭います。種類はミニチュアダックスフンド。胴が長い分なりやすい病気として椎間板ヘルニアがあります。..... [Read More]

Tracked on Sunday, September 14, 2008 22:14

« 「Real/8otto」を聴いた | Main | Shang-hai 1st Day »