「Zoo1・Zoo2/乙一」を読んだ
今までなんとなく気になってた乙一氏。きっと怖いんだろうなと思って、
今まで避けてきた作家。でも、「夏はホラー」ということで世田谷中央図書館で借りた2冊の短編集「Zoo1」
,「Zoo2」
(集英社文庫)について。
とりあえずひっかかった作品を。まずは「Zoo1」から。
"カザリとヨーコ"。妹は母親に可愛がられるが、姉は虐待を受け続ける。そんな双子姉妹の差別が描かれた話。
ちょっと先読みできるだけど、悲惨すぎてひっかかった。
"SEVEN ROOMS"。見知らぬ男に閉じ込められた姉弟。その部屋は7つあり、一人ずつ順番に殺されては補充される。
溝に流れる死体の部位の表現など相当グロいし、残酷。異様な緊張感がひっかかった。
"陽だまりの詩"。その病気に罹った人は例外なく2ヶ月で死ぬ。そんな疫病が流行った世界で、
彼は死んだ後に自分を埋めてくれるロボットをつくった。ロボットは死とか感情を理解できるのか。綺麗な表現にひっかかった。
そして、「Zoo2」から。
"冷たい森の白い家"。伯母の家に引き取られ、馬小屋で馬糞にまみれて暮らす少年。やがて馬小屋を追われて、
生きていくために森の中で家を建てようとする。少年は成長し、人を襲って、死体で壁を積み上げ始めた。グロテスクなんだけど、
妙な透明感がひっかかった。
"神の言葉"。世の中に媚びへつらいながら生きてきた主人公は、
自分の声で生き物の行動を操れる能力を持っていることに気づく。嫉妬した同級生のアサガオを枯らし、凶暴な犬を手なずけ、母の精神を壊し、
父の指を落とす。罪悪感にさいなまれ、壊れていく主人公。スケール感のあるLastにひっかかった。
救いようがないけど、不思議な透明感と空気感を感じたこの短編集。切ない言葉の美しさもいいと思うし、 "ZOO"と"乙一"をひっかけた表紙のGraphic Designは秀逸。夜、たまに思い出して、ゾクッとするけど、 なんかひっかかってしまった乙一ワールドでした。
追記:明日から2泊3日で、中国・上海出張。これで中国出張は13回目、上海は12回目。上海の天気予報を見ると、 34度と結構暑そう。最近の大雨雷雨豪雨で、少々涼しい東京に慣れた体は大丈夫なのか。とりあえず、行ってきまーす。
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