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Wednesday, January 21, 2009

「GOTH 夜の章・GOTH 僕の章/乙一」を読んだ

  本屋で徘徊してて、無性に取りつかれる乙一氏。 今回は三軒茶屋Tsutayaで取りつかれた「GOTH 夜の章」と「GOTH 僕の章」(角川文庫)について。
  これ、凶悪犯罪者に対し、理解というよりも、さらに崇拝にまで近い感情を抱く2人、"僕"と"森野夜"。この2人の学生が、 数々の猟奇的凶悪事件に関わっていく6つの短編なStory。その事件の事実と当人たちの感情が、淡々と綴られている。
  で、この2冊は、第3回本格ミステリ大賞を受賞した「GOTH リストカット事件」を分冊化し、「GOTH 夜の章」には、 「暗黒系」、「犬」、「記憶」の3篇が、そして、「GOTH 僕の章」には、「リストカット事件」、「土」、「声」 の3篇がそれぞれ収録されてる(ま、ほんと短編なんで、あとがきで乙一氏も書いてるけど、分冊した理由がよくわからない...)。
  個人的にひっかったのは「犬」と「記憶」と「土」と「声」。すべての残酷だし、目を覆うようにグロテスクだし、 こんな残酷な面を覗きたがる陰湿な物語ばかり。不安とか恐怖とか、そしていろんな抑圧された感情に追い詰められて、 猟奇的犯罪を起こしている犯人たち。埋めたり、うずめたり、切り取ったり、切り刻んだり、隠したり、囲んだり、刺したり、つったり...。 そんな事件に2人は関わっていく。でも、この小説からは、淡々とした印象を受けた。2人はともかく孤独だし、その関係性も距離感も希薄だし、 感情の起伏の少ない文章と繊細な描写が支えている。グロテスクなんだけど、どこかに綺麗さを感じてしまう。
  ともかく、残酷さの中に、人間らしさと切なさを感じてしまう小説。夜、夢に出てくるほど、ひっかっかた。 いろいろある日々の中で、刺激は必要。これからも、取りつかれていきそうな乙一氏かと。

cf.乙一 読破 List
- Zoo1・ Zoo2
- 平面いぬ。
- 死にぞこないの青
- GOTH 夜の章・GOTH 僕の章

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