「ブラフマンの埋葬/小川洋子」を読んだ
たまに行く世田谷区中央図書館、 山本容子氏のやさしい装丁と好きなBandのBrahmanというNamingににひかれて、
初めて読んでみた小川洋子氏の
「ブラフマンの埋葬」
(講談社)について。
こんな話。夏のはじめのある日、"創作者の家"の裏庭に、傷ついた小さな動物が、控えめに身を縮めていた。
芸術家たちの集まるこの家の管理人"僕"と"ブラフマン"と名付けられた小さな動物の優しくて暖かくて、切なくなってしまう物語。
この小説のTitleから最後はそうなるんだなと思いながら読み進んだけど、ともかく"ブラフマン"が可愛らしい。で、
"ブラフマン"に思いっきりな愛情を注ぐ"僕"。で、この"僕"は、雑貨屋の娘が気になったりしてるけど、ともかく勤勉で、
立場がわかってて、でしゃばらない。これを大事にしないと大変なことになるとわかったうえで、
慈しみと慎み深さと必要な距離感を忘れずに生活してる。そして、で、この"創作者の家"を中心に、オリーブの林、泉、墓碑や石棺など、
透明感のある風景が描かれてる。まるでモネの絵のようだ。そんな彼らを取り巻く世界に、けなげさと静謐さと悲しみが共存してる。
ブラフマンはどんな動物なのか、わからずに、淡々とじわーっとやさしさが体のどこかに沁み込みながら、読める本。慌てずに、
慌てずに...。
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