「モダンタイムス/伊坂幸太郎」を読んだ
ここ数年、思いっきりはまった伊坂幸太郎氏。
去年2008年の秋、出版された「モダンタイムス」
(講談社)を読んだ。
あらすじはこんな感じ。SEの"渡辺拓海"は、
上司から失踪した先輩社員"五反田正臣"に代わってとあるProjectのSystem開発を継続するよう命じられる。
その日から続く奇妙な事件の数々。先輩の失踪に始まり、後輩"大石倉之助"の性犯罪の誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪、
妻"渡辺佳代子"に不倫調査のため雇われた男"岡本猛"の家の火事...。これは、とある言葉を検索した者に降りかかるようだ。
この謎を解くために、物語は進んでいく。
これ、あの「魔王」
から50年後の続編。で、物語の冒頭は、妻からの不倫疑惑のために雇われた岡本からの「勇気はあるか?」と聞かれ、渡辺拓海は
「勇気は実家に忘れてきました」と答えるところから始まる。こんないい感じのStartで、伊坂氏、過去最大の長編小説に仕上がっている。
で、機械に支配されたチャップリンの映画"モダンタイムス"のように、Network Systemに支配され、管理され、
監視された近未来社会を描いたのが、この物語。「そういうことになっている」というSystemの話、そのSystemの中では、
あまりに分業されて、「なにをやってるかわからない」という自意識欠如の社会の話。これって今の世の中でも、あたり前のことになってる。
赤信号で渡らないというRuleが、なんのためにそうなっているかがわからない世界とかって、案外ハッとすることも多かった。
それにしても、会社のPCでの仕事と関係ないNet Surfinとか、遊びのMailのやりとりなんて、
System担当者がそのLogを追って、監視しているのは、うちの会社でもそうなってる。で、それの度が過ぎると、
懲戒処罰の対象になるのも、みんな知ってる。でも、実際にその事態に追い込まれないと、わかんなくなってるもの事実。
伊坂氏らしいジェットコースターのような物語に、学ぶことも多い。相変わらず、いい感じの伊坂作品でした。
cf.伊坂幸太郎 読破 List
- ラッシュライフ
- チルドレン
- 陽気なギャングが地球を回す
- 終末のフール
- オーデュボンの祈り
- 重力ピエロ
- アヒルと鴨のコインロッカー
- グラスホッパー
- 死神の精度
- 魔王
- 砂漠
- フィッシュストーリー
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義
- 陽気なギャングの日常と襲撃
- ゴールデンスランバー
- モダンタイムス
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