「ビタミンF/重松清」を読んだ
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam//media/img_20090629T204403296.jpg"
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border="0" /> ダラダラと読み続けてる
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E6%9D%BE%E6%B8%85">重松清氏の作品。
今回は桜新町Tsutayaで買った第124回(2000年)直木賞受賞作「
"http://www.shinchosha.co.jp/book/134915/">ビタミンF」
(新潮文庫)について。
これ、家族に関する悲哀とそれからのちょっとした回復を描いた7つの短編が入ってる。簡単にあらすじを書くと。
「ゲンコツ」:主人公の"雅夫"は、自動販売機のセールスマン。歳を取ってきた自分が嫌になり、若者との違いを感じ出し、
夢や希望や愛という歌詞が出てくる歌を歌うことがこっ恥ずかしくなってきた今日この頃。子供のころは、
弱い者いじめや理不尽なことに立ち向かってきたければ、自分の"ゲンコツ"が弱くなったと感じていた。そんな雅夫は、酔って帰った深夜、
自動販売機にイタズラするガキどもを発見し、ゲンコツを握り締める。
「はずれくじ」:妻が入院して、中学生の息子"勇輝"と2人で過ごす時間を持て余す父親"修一"。
会社の中堅という曖昧な立場や、思春期の息子との微妙な関係を通して、修一の微妙な心理がわかってくる。
「パンドラ」:中学生の娘が万引きをして補導された。その上、娘は不良少年と男女の交際をしているらしい。父親"孝夫"は、
娘の気持ちを気遣おうとする妻"陽子"にまで疑いの目を向けてしまう...。
「セッちゃん」:気立てが良くて、学校であったことを楽しそうに話してくれる娘"加奈子"が、
ある日クラスで嫌われている転校生"セッちゃん"のことを話し出す。両親である"雄介"も"和美"も耳障りが良い話ではない。で、
両親はそのセッちゃんの正体に気付くことに...。
「なぎさホテルにて」:妻との関係が冷め切っている離婚寸前の夫婦。そんな夫の"達也"が最後の家族旅行として、
選んだのは学生時代に恋人と来た思い出の場所である"なぎさホテル"。ここを選んだのは、20世紀最後の誕生日を一緒に過ごそうと、
学生時代にこのホテルの"未来ポスト"に投函した手紙が、今頃届いたからであった...。
「かさぶたまぶた」:大学受験に失敗した息子と、有名私立中学に合格した娘をもつエリート広告マン"政彦"。
卒業前の娘に起こったある事件をきっかけに、家族関係の裏の部分と、自分に対する家族の本音が明るみになる...。
「母帰る」:37歳の主人公"拓巳"は、故郷を出て、東京で家庭を持っている。故郷の父親が、
子育てを終えてから男と一緒になるために家を出た妻に、もう一度戻ってきてくれ、と持ちかけたという。
母親は自分たちを捨てたわけじゃないけど、長い間1人で暮らしてきた父親のことを思うと、拓巳は煮え切れない気持ちになる...。
Family、Father、Friend、Fight、Fragile、Fortune...。
[F]で始まるさまざまな言葉が、Key Wordとして埋め込まれた7つの"Fiction"(小説)とのこと。そんな話を「ビタミンF」
として描いた家族小説がこれ。で、この小説の主人公は、自分と同じ40歳前後の中年サラリーマン。もう若くないことはわかってるけど、
自分をおっさんと認めることが癪で、子供達がグレたり、反抗されたり、いじめられたりすることに、無力さを感じ、
この結婚は間違いじゃないかと後悔したり、年老いた親との関係にあきらめを感じたりと、どこの家庭にもありそうな物語が描かれてる。
あまりに自分と照らして、等身大すぎて、心の中を覗かれた気がした。
それにしても、奥田英朗氏にしても、この重松清氏にしても、ともかく上手いです。まだまだ、
ダラダラジワジワと読み続けたい作家の一人。
cf. 重松清 読破 List
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/07/post_f4db.html">舞姫通信
(1995)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/02/post_7313.html">見張り塔からずっと
(1995)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/12/post-0944.html">ナイフ
(1997)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2009/06/f-613e.html">ビタミンF
(2000)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/03/post_09dd.html">リビング
(2000)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2007/05/post_0068.html">流星ワゴン
(2002)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/05/post_7576.html">きよしこ
(2002)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2007/12/post_05d6.html">熱球
(2002)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2007/12/post_0e0f.html">疾走
(2003)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2009/02/post-8834.html">卒業
(2004)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2007/11/post_1b9d.html">いとしのヒナゴン
(2004)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/11/post-49ac.html">その日のまえに
(2005)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2009/05/post-35bc.html">きみの友だち
(2005)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/01/post_6644.html">くちぶえ番長
(2007)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/11/post-ff0d.html">ブルーベリー
(2008)
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"http://emam.cocolog-nifty.com/emam/2008/12/post-a6e5.html">みぞれ
(2008)
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