「マドンナ/奥田英朗」を読んだ
二子玉川の紀伊国屋書店で気になり、少々ひさびさに読んでみた奥田英朗氏の
「マドンナ」
(講談社文庫)について。
これ、まさに同世代の40代おっさんサラリーマンを題材にした5つの短編集。簡単にあらすじを書くと。
「マドンナ」:"荻野春彦"は営業3課の課長。今回の定期人事異動で入社4年目の総合職で、気立てもよく、
仕事のできる女性"倉田知美"が営業3課に異動してきた。しかも好みのタイプ。苦しい妄想的な片思いが始まった...。
「ダンス」:高校生の頃、Jimmy Pageに憧れて、Rock Musicianになることを夢見ていた"芳雄"は、
大手食品会社に勤める営業課長。上司の部長に従っていきてるサラリーマン。一方、同じ部の同期課長がマイペースで、
決して部長に合わせようとしない中、芳雄は、部長と同期課長の間に入って、苦労していた。そんな中、高2の息子が、大学へは行かず、
Dancerになると言い出した...。
「総務は女房」:大手家電メーカーに勤める"恩蔵博史"は、入社以来営業一筋で社内でも一目置かれる局長候補のエリート社員。
で、局長になる前の経験として、総務部第4課長に就任した。そんな中、総務部内に長年はびこる不正を発見した。
1円でもコストを削減するために製造も販売も頑張っていることを知ってる恩蔵は、このいい加減な総務部の風潮が許せなかった...。
「ボス」:大手商社に勤める"田島茂徳"に、外資系銀行に勤め、茂徳と同じ年の女性が新しい上司としてやって来た。
欧米系の仕事の進め方を身につけている彼女は、仕事のルールをどんどん変えていく...。
「パティオ」:お台場の近くにあり、
Officeや商業施設や高層マンションから成る新しい開発施設を手がける土地開発事業団に勤める信久は、
閑散とした商業スペースにいかに人を集めるかで、頭を痛めていた。そんな中、パティオのベンチで読書をするひとりの老人に気づく...。
どの話も、なんかわかるなぁって思ったり、おいおいちょっと極端だなとか思ったりと、身近にありそうな話ばかり。 まさに自分を含めた40歳代のサラリーマンの日常を描いた短編物語。勝手で一方的で妄想だらけの恋、自由奔放な同僚課長、 わからない女性心理、自分の意思と周りとの折り合い、年老いた親との付き合い方などなどを、恥ずかしくなったり、寂しくなったり、 ホッとしたりしながら、読み終えることができた。それにしても、異なる価値観を持った人とのつきあいって、難しい。 そんなことを改めて考えた奥田英朗氏の小説だった。
cf.奥田英朗 読破 List
- ウランバーナの森
(1997)
- 最悪
(1999)
- 邪魔
(2001)
- 東京物語
(2001)
- マドンナ
(2002)
- イン・ザ・
プール (2002)
- 真夜中のマーチ
(2003)
- 空中ブランコ
(2004)
- サウスバウンド
(2005)
- ララピポ
(2005)
- ガール
(2006)
- 町長選挙
(2006)
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