「カカシの夏休み/重松清」を読んだ
気になると無性に読みたくなる重松清氏の作品。今回は二子玉川の紀伊国屋書店でみつけた「カカシの夏休み」(文春文庫)について。
これも重松清氏お得意の、現代社会のあり方を問う作品。「カカシの夏休み」、「ライオン先生」、「未来」の3つの中篇小説が収録されている。簡単にあらすじを。
「カカシの夏休み」:
中学卒業と同時に故郷の村はダムに沈んでから22年がたつ。担任としてクラスの進め方に悩んでいた小学校教師は、中学の同級生が自殺して、22年ぶりに再会することとなった。初恋の同級生、リストラ問題、学級崩壊の危機など、それぞれに問題を抱えたまま、ささやかな夏休みをとろうとする...。
「ライオン先生」:
その髪型から"ライオン先生"というあだ名の44歳の熱血高校教師。しかし、彼の髪はカツラだった...。
「未来」:
自殺した同級生の遺書にいじめの加害者として名前が書かれていた弟。その姉も自殺予告電話をかけてきた同級生の自殺を止めなかったため、高校中退まで追い込まれていた...。
この3作品とも、相変わらずのRealityであふれている。いじめとか自殺とかリストラとか教育現場とか父と子といった家族とか、なんか身につまされる。それにしても、ダムに沈んだ故郷の写真を、初恋の同級生がInternetにあげてるあたりは、ちょっとグッと来ました。自分のふるさとはちゃんとあるけど、思いっきり変わってしまった(たぶん...)。いつか遊んだ田んぼとか高尾山とか浅川とか、もう一度行ってみたくなった。
cf. 重松清 読破 List
- 舞姫通信 (1995)
- 見張り塔からずっと (1995)
- ナイフ (1997)
- カカシの夏休み (2000)
- ビタミンF (2000)
- リビング (2000)
- 流星ワゴン (2002)
- きよしこ (2002)
- 熱球 (2002)
- 疾走 (2003)
- 卒業 (2004)
- いとしのヒナゴン (2004)
- その日のまえに (2005)
- きみの友だち (2005)
- くちぶえ番長 (2007)
- ブルーベリー (2008)
- みぞれ (2008)
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