「1Q84/村上春樹」を読んだ
超ひさびさの村上春樹氏の長編小説「1Q84」(a novel BOOK 1<4月-6月>/a novel BOOK 2<7月-9月>)(新潮社)について。
こんな話。1984年、スポーツインストラクターであり、暗殺者である女性"青豆"と、予備校教師で小説家を志す男性"天吾"。天吾は、高校生"ふかえり"の書いた小説「空気さなぎ」を書き直すことになった。そして、別々に生きてきた2人の物語は、あるカルトな宗教団体によって徐々に交錯していく...。
ひさびさに堪能した1,000ページにもおよぶ長編小説。まず読み終わった後の読了感と満足感は格別だった。で、この話の根底に流れているのは、まずは、夫からのDVとか性的虐待を受けた人々の苦しみから生まれる逃亡や逃避。そして、カルト集団の不気味な動き。この社会悪が生み出す状況に「やれやれ」と思いながら、戦っていく話だと思う。で、戦えるバックグラウンドは愛があるということ。
そして、いい意味で自分の中にひっかかったのは、消えてしまった人々はどうなったのか?、青豆は池尻近くの首都高から別の世界に行ってしまったのか?、「ほうほう」と声をあげるリトル・ピープルは結局なんのメタファーなのか?、カルト宗教集団のその後は?、ディスレクシア(読字障害)で疑問符のないしゃべり方をするふかえりはどうなるのか?、1Q84年という2つの月がある世界に気づいた人は他にもいたのか?あたり。そして、ヤナーチェックの"シンフォニエッタ"という曲はどんな曲なんだろう? ということ。
というわけで、ひさびさにじっくりと不思議でジワっとくる村上春樹ワールドを堪能させていただく。で、いつの日か、この本が文庫本になったときは、もう一度堪能しよう。あ、George Orwell作の「1984年」も読んでみよう。
cf.村上春樹 読破 List
- カンガルー日和 (1981-1983)
- レキシントンの幽霊 (1986)
- ノルウェイの森 (1987)
- もし僕らのことばがウィスキーであったなら (1997)
- Mr.and Mrs.Baby and Other Stories-犬の人生/Mark Strand-マーク・ストランド (1998)
- 神の子供たちはみな踊る (1999-2000)
- 海辺のカフカ (2002)
- アフターダーク (2004)
- 東京奇譚集 (2005)
- ふしぎな図書館/村上春樹・佐々木マキ (2005)
- 走ることについて語るときに僕の語ること (2007)
- 1Q84 (2009)
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