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Sunday, October 11, 2009

「ディスカスの飼い方/大崎善生」を読んだ

Yoshioosaki_discusnokaikata_2 ひさびさに読みたくなった大崎善生氏。で今回は、世田谷区中央図書館で借りた「ディスカスの飼い方」(幻冬舎)について。
 こんな小説。主人公は"ディスカスを理解することは、宇宙を理解することと同じだ"とし、熱帯魚の王様・ディスカスを飼育していく。その過程を精密に描き、かつて幸せにできなかった恋人"松本由真"を追想しながら、人生や愛とはの答えを、自ら導き出していく...。
 ディスカス(Discus)とは、アマゾン川などが原産の淡水魚で、熱帯魚としても人気が高く、熱帯魚の王様とされている。この魚のブリーディングは相当難しく、そんなディスカスに取り付かれた男の物語がこれ。ディスカスに取り付かれる中で、大事な恋人を失い、彼女を思い続けていく。で、ぶっちゃけ、熱帯魚なんて飼ったことないし、ブリーダーの世界なんて、自分にとっては謎の世界。でも、実在する伝説の水中探検家とか著名なブリーダーが出てきて、相当興味津々。無バクテリア飼育とか水のペーハー値とか光合成バクテリアとか、まったく知らない単語ばかりだし、飼育室を川にしてしまう思想なんて、ほんと狂気な世界。ほんと大崎善生氏の造詣の深さに脱帽。
 ただ、この小説のトーンは、本当に淡々としてて、飄々としている(ま、初めてのブリーディングのシーンは、もの凄い緊張感だったけど...)。で、読後感も、まるで自分の目の前に水槽の世界があるように、静寂としてて、不思議と心地よかった。本の装丁も綺麗だ。
 というわけで、大崎善生氏で未読の小説は「聖の青春」(2000年)と「編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと」(2003)だけになった。大崎善生氏全作品読破まであと一歩。

cf.大崎善生 読破 List
- 将棋の子 (2001)
- パイロットフィッシュ (2001)
- アジアンタムブルー (2002)
- 九月の四分の一 (2003)
- ドナウよ、静かに流れよ (2003)
- ロックンロール (2003)
- 孤独か、それに等しいもの (2004)
- 別れの後の静かな午後 (2004)
- ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶 (2005)
- 優しい子よ (2006)
- タペストリーホワイト (2006)
- 傘の自由化は可能か (2006)
- スワンソング (2007)
- ディスカスの飼い方 (2009)

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