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Monday, November 30, 2009

「愛と幻想のファシズム/村上龍」を読んだ

Ryumurakami_aitogensonofasism1Ryumurakami_aitogensonofasism2 1987年、自分が大学生のときも読んだんだけど、20年以上経ってもう一度読み直してみた村上龍氏の長編小説「愛と幻想のファシズム」</>(講談社文庫)について。
 こんな話。アラスカで狩猟生活をしていたハンターの鈴原冬二(トウジ)は、酒場で飲んだくれていた日本人の相田剣介(ゼロ)と出会い、独裁者になるように勧められる。そんな中、世界経済は恐慌へ向かい、日本は未曾有の危機に陥ってきており、トウジらは政治結社"狩猟社"を結成し、大衆の支持を集めるようになる。狩猟社には、日本を代表する学者、官僚、医者そしてテロリストが結集し、国内の敵対勢力を片っ端から手段を選ばず叩き潰し、勢力を拡大していった。一方で、世界の再編成に乗り出した多国籍企業集団"ザ・セブン"による日本の属国化が、進んでいた...。
 いやー、やっぱり面白かったこの小説。ちょっと、冗長で難しい政治経済に関する記述が多いものの、世界情勢、南北問題、経済格差、狩猟民族と農耕民族、組織論、テロリズム、サイバーテロ、核の配備などがあまりに緻密に書かれていて、荒唐無稽に思えないところが凄い。で、村上龍氏のあとがきに書いてあったけど、トウジとゼロとフルーツは、あの「コインロッカー・ベイビーズ」でのキクとハシとアネモネが姿を変えて、登場したとのこと。この3人の人間模様が、この長編小説に深みを与えている。
 昔、この「愛と幻想のファシズム」を映画化するといった話があった気がするけど、やっぱ小説のまま、深く妄想する方がいいかもしれない。
 というわけで、村上龍氏を再読作業中。これからもジワジワ続けよう。

cf.村上龍 読破 List
- 限りなく透明に近いブルー (1976)
- コインロッカー・ベイビーズ (1980)
- 69 sixty nine (1987)
- 愛と幻想のファシズム (1987)
- 昭和歌謡大全集 (1994)
- 五分後の世界 (1994)
- ヒュウガ・ウイルス~五分後の世界II (1996)
- ストレンジ・デイズ (1997)
- イン ザ・ミソスープ (1997)
- 共生虫 (2000)
- 希望の国のエクソダス (2000)
- 2days 4girls (2002)
- 半島を出よ (2005)
- 空港にて (2005)
- 盾 Shield (2006)
- 美しい時間/小池真理子・村上龍 (2006)

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