「バスジャック/三崎亜記」を読んだ
たまたま入った桜新町Tsutaya。そこでひっかかった三崎亜記氏の「バスジャック」(集英社文庫)について。
これ、7つの作品が入ってる短編集。とりあえず、あらすじを。
「二階扉をつけてください」:
出産のため実家に帰った妻を待つ僕のところに近所の人と思われる女性から「二階扉をつけてください」とおかしなクレームが来た。女性があまりに怒っていたので町内を一周してみると確かにどの家の二階にも扉がついていた...。
「しあわせな光」:
僕はいつものように街を見下ろす丘に立ち、散らばる光の中から僕の家に灯る明かりを探す...。
「二人の記憶」:
僕の記憶と彼女の記憶には何時の頃からか行き違い、思い違いがある。彼女の勘違いなのか...。
「バスジャック」:
"バスジャック規正法"、"六・十五 血の闘争"、"乗客保護義務違反"など、バスジャックがルールに基づいて法的に認められるようになった社会の話。
「雨降る夜に」:
1人暮らしの"僕の部屋を図書館と思い込み、本を借りに来る女性の話。
「動物園」:
開園30周年を迎えた動物園に、ハヤカワ・トータルプランニングの日野原は依頼を受けてやってきた。この会社は、予算のない動物園が珍しい動物を見せたいというリクエストに応える隙間産業的会社。社員のイメージにより、あたかもそこに動物がいるような幻影をみせることできる...。
「送りの夏」:
小学生の麻美は、家出した母を追って、つつみが浜へやってきた。駅を降りた浜で出会ったお爺さんは車椅子のおばあさんの世話をしていた。しかし車椅子のおばあさんはどう見てもマネキン人形であった...。
偶然、手に取った短編集なんだけど、ほんと不思議な世界だった。非日常な世界をRealityもって、日常の世界に見せてくれる。しかも叙情豊かな表現でなんとも不思議な気分にさせてくれる。個人的によかったのは、「雨降る夜に」。あっさりとしみる短編かと。
ともかく、いい意味で投げっぱなしな作者に、不思議なひっかかりを残された短編集だった。
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