「看守眼/横山秀夫」を読んだ
二子玉川のBook 1stで、なんとなく買って読んだ横山秀夫氏の「看守眼」(新潮文庫)について。
読む前までは、警察系Mystery小説かと思っていたら、普通の人が巻き込まれ、そこで感じる違和感をえぐり出した6つの短編集の集まりだった。簡単にあらすじを書いてみる。
「看守眼」:
38年間の警察官生活のうち、29年間を留置場の看守として過ごした男"近藤"。彼は若い頃から刑事志望だったが、夢破れ、留置管理係として職業人生を閉じようとしていた。で、近藤は、定年直前の休暇を利用して、1年前の死体なき殺人事件を追っている。ある1人の主婦が失踪したが、不倫相手に殺されたと思われる状況で、相手の男を追究したけれども、自白も得られず、物証もなく証拠不十分で釈放せざるを得なかった...。
「自伝」:
自叙伝執筆を請け負う3人のゴーストライター・グループに、大手家電量販店の創業者の自伝を書く仕事が回って来た。面接の後、他の2人は落とされ、主人公が合格した。なぜ彼が選ばれたのか...。
「口癖」:
家裁調停委員を務める主婦。彼女はどんな辛いときも「これしきのこと!」と頑張って来た。そんな彼女に新しい離婚調停の申し出が来た...。
「午前五時の侵入者」:
県警のホームページにクラッカーが侵入した。県警のホームページがフランス語の詩のようなものに取って代わられていたのだ。迅速に対応したので、このページのアクセスは4人のみだった。しかしこれが公になれば、責任者の警部は職を失うかもしれない。このフランス語の意味を調べるとともに、この4人を探し出し、口止めして回った...。
「静かな家」:
とある地方紙の地方紙整理部に身を置く元記者。営業部門からの強烈な依頼で、完成した紙面割りを作り替えなければならなくなった。この元記者は、時間のない中で、本日終了したとある展覧会が明日まであると勘違いし、掲載してしまった。このことから、元記者は殺人事件の容疑者にされてしまった...。
「秘書室の男」:
県知事公設秘書の課長が主人公。彼は、知事に信奉し、公私ともに尽してきた。ところが、ある日を境に知事の態度が冷淡になった。知事宛の投書はこの秘書課長が選別するのだが、彼の不在時に、誰かが彼の悪口を書いた投書を知事に回したらしい...。
この話は、身近な人間がレベルの差はあれ、様々な不条理に巻き込まれる姿を描き出したものばかり。「半落ち」や「クライマーズ・ハイ」のような重厚さはないものの、それぞれの主人公が、それぞれ追い込まれる危機的な立場とか嫌ーな負のしこりが残ってしまう感じが秀逸。主人公が抱えている重荷とか劣等感とが、あぶりだされて、なんとも言えない気分になってしまう。たまーにはまる横山秀夫氏の作品。たまーに読んでいこう。
cf.横山秀夫 読破 List
- 半落ち (2002)
- 第三の時効 (2003)
- クライマーズ・ハイ (2003)
- 看守眼 (2004)
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Comments
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