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Thursday, February 25, 2010

「再会/重松清」を読んだ

Kiyoshishigematsu_saikai ずーっとジワジワ読んでる重松清氏。今回は世田谷中央図書館で借りた「再会」(新潮社)について。
 こんな6つの短編が入ってる。
 ・「いいものあげる」:
 主人公の中村さんは、父親の大規模ショッピングセンター"シンフォニー"の立ち上げのため東京から転校してくる。この地方都市、地元の百貨店"ちどりや"が町を牛耳っていて、そのちどりやの娘"鳥谷美智子"は、"ちどりや"にテナントとして入っている和菓子屋"満月堂"の娘"川島鈴香"ら、親が"ちどりや"で働いている同級生数人を引き連れていた。この美智子は、「いいものあげる」と言いながら、ちょっとしたプレゼントを、とりまきの同級生達にあげるのが好き。美智子は中村さんを気に入り、毎日プレゼントをくれ、家にも招待してくれるが、このシンフォニーの開店で、ますます、ちどりやの経営は悪化していく...。
 ・「ホラ吹きおじさん」:
 苦労して小学校教師になった父"一郎"の息子"ヒロシ"。そんなヒロシは、父親と正反対で、仕事に就かず酒も博打も大好きで、親戚中に嫌われてるおじ"三郎"が、どこか好きだった。そんな三郎が、長年の不摂生がたたり、危篤の状態になっていることを知る。しかも三郎は、祖父の後妻になったハナにも会いたがっていた...。
 ・「永遠」:
 小学校教師のわたし。わたしには、先天性の症候群を抱え、人を疑うことを知らない24歳の弟"ユウちゃん"がいた。ユウちゃんは今でも小さい子の人気者だが、子どもたちは成長すると共に、ユウちゃんを避けるようになり、その仲は長続きしない。そんなユウちゃんに、勤め先の木工所の社長さんの同じ病気を抱える娘"マナミちゃん"と結婚が決まったが、小学時代に一緒に冒険をしたという"シノケン"を結婚式に招待したいと言い出す...。
 ・「チャーリー」:
 主人公の"村田"は、小学4年生の息子が、自分もかつて読んでいた漫画"スヌーピー"を読み出したのをきっかけに、担任"生駒先生"に嫌われていた小5の頃の自分を、情けない主人公チャーリー・ブラウンに重ねて、思い出す。当時の自分は、できないくせに学級委員に立候補したり、わかっていなくても授業でとにかく手をあげたり、友達や大人にほめられたい一心で、生きていたのだった...。
 ・「人生はブラの上を」:
 "ユミ"は、小2の娘"エリカ"を見ていると、おさななじみの"ムウ(睦美)"を思い出す。ムウは、勉強が苦手で、同級生にいじめられてもを嫌と言えず、太っていて、大らかでマイペースで、どこかずれている子だった。で、ムウの父親は事業に失敗のうえ、病死してしまい、母親は男性とつき合っては捨てられてしまう。そんなムウは、中学生のある日、ピアノを貸してくれと言い出し、The Beatlesの"Ob-La-Di, Ob-La-Da"をを練習し始める...。
 ・「ロング・ロング・アゴー」:
 「いいものあげる」の続編。建設会社に勤める32歳の"瀬尾"は、母校の小学校の工事のため、ひさしぶりに故郷を訪れた。いまやあの"シンフォニー"は古びてしまい、"ちどりや"の跡地に建った"ガーデン"に、完全お押され気味。そんな中、工事現場の雑用が仕事の瀬尾は、学校にいついている猫を見て、小学校の頃の初恋の人"島谷美智子"が飼っていた猫にそっくりなことに気づく...。

 この6つの短編集、いづれも、運に恵まれず、生きてきた人々のことが描かれいる。

 で、自分的に心にひっかかった短編は、「永遠」と「チャーリー」。「永遠」では障害も持った子供が、はからずも他の子供とずれてしまい、家族を含め、思わず他人にストレスをぶつけてしまう。これはちょっと反感持ちつつも、ひっかかた。で、「チャーリー」のほうも痛い。自分の能力や限界を初めて悟ったとき、やっと自分と向き合うようになる。友達、親、先生、近所の人っていった周りの人たちに気をつかうなんて、まさに自分の子供の頃の話が書かれているような気分になった。
 八王子を離れ、もう20年近くなるけど、小中の友達なんて、年賀状含め、ほとんどつながりはない。昔の友達や懐かしい人に「再会」すると、きっと、あの頃の自分と「再会」することになるんだろうな。今の自分はこんなはずじゃなかったみたいな想いって、誰もが抱えてるもの。重松さん、相変わらず、ズルくてスゴイ。

cf. 重松清 読破 List
- 舞姫通信 (1995)
- 見張り塔からずっと (1995)
- ナイフ (1997)
- カカシの夏休み (2000)
- ビタミンF (2000)
- リビング (2000)
- 口笛吹いて (2001)
- 流星ワゴン (2002)
- きよしこ (2002)
- 熱球 (2002)
- 疾走 (2003)
- 卒業 (2004)
- いとしのヒナゴン (2004)
- その日のまえに (2005)
- きみの友だち (2005)
- くちぶえ番長 (2007)
- ブルーベリー (2008)
- みぞれ (2008)
- あの歌がきこえる (2009)
- 再会 (2009)

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