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Monday, May 31, 2010

「1Q84 a novel BOOK 3<10月-12月>/村上春樹」を読んだ

Harukimurakami_1q843 実は2巻で完結と思い込んでた村上春樹氏の「1Q84」。ところがこの"1Q84"の世界は続いていた...。で、Nkmrさんに貸りて読んだ「1Q84 a novel BOOK 3<10月-12月>」(新潮社)について。
 "1Q84"はこんな世界。1984年、スポーツインストラクターであり、暗殺者である女性"青豆"と、予備校教師で小説家を志す男性"天吾"。天吾は、高校生"ふかえり"の書いた小説「空気さなぎ」を書き直すことになった。そして、別々に生きてきた2人の物語は、あるカルトな宗教団体"さきがけ"によって徐々に交錯していく...。
 BOOK 1とBOOK 2では「青豆の物語」と「天吾の物語」が交互に描かれいたが、今回のBOOK 3では、2つの物語に加え、青豆と天吾を探す"牛河"を主人公とした「牛河の物語」が加わる。この"牛河"は、離婚歴がありる年の元弁護士で、財団法人新日本学術芸術振興会 専任理事を名乗り、"さきがけ"の表にでない雑用をしている。背が低く、歯並びが悪く、頭が大きくいびつな形をしていて、背骨が妙な角度に曲がっているのが特徴。
 で、このBOOK 3は、この牛河を準主人公にもってきて、こ"1Q84"の世界での狂言回しの役割を演じさせている。これが、ともかくいい。で、BOOK 1とBOOK 2を読み終えた後、気になって、ジョージ・オーウェル氏の「1984年」も読んだんだけど、やはり村上春樹氏が言いたかったことは、宗教や思想といった盲目的に服従させる精神的な囲い込みに対する抵抗だと思う。これに、恋愛やミステリー的な要素を振りかけて、大作に仕上がってる。
 それにしても、この小説の最後でも、謎は謎のまま。でも、明らかになっていないほうが絶対いいと思う。"リトル・ピープル"って結局、あるタイミングで物凄い力を発揮するという人間の神秘的な力のメタファーなんだろうか...。わからないものをわからないままでいるのも、たまにはいいです。ほんと堪能しました。ありがとうございます。

cf.村上春樹 読破 List
- 風の歌を聴け (1979)
- 中国行きのスロウ・ボート (1980)
- カンガルー日和 (1981-1983)
- レキシントンの幽霊 (1986)
- ノルウェイの森 (1987)
- TVピープル (1990)
- もし僕らのことばがウィスキーであったなら (1997)
- ふわふわ/村上春樹・安西水丸 (1998)
- Mr.and Mrs.Baby and Other Stories-犬の人生/Mark Strand-マーク・ストランド (1998)
- 神の子供たちはみな踊る (1999-2000)
- 海辺のカフカ (2002)
- アフターダーク (2004)
- 東京奇譚集 (2005)
- ふしぎな図書館/村上春樹・佐々木マキ (2005)
- 走ることについて語るときに僕の語ること (2007)
- 1Q84 a novel BOOK 1<4月-6月> (2009)
- 1Q84 a novel BOOK 2<7月-9月> (2009)
- 1Q84 a novel BOOK 3<10月-12月> (2010)

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