「オー!ファーザー/伊坂幸太郎」を読んだ
これまた、やっと順番が回ってきて、世田谷中央図書館で借りることができた伊坂幸太郎氏の「オー!ファーザー」(新潮社)について。
こんな話。主人公はバスケットボール部に所属している高校2年生の"由紀夫"。ごく普通の高校生である由紀夫には、4人の父親がいた。由紀夫は、母親"知代"の"鷹"、"勲"、"葵"、"悟"との四股恋愛の末に生まれた子供であった。ギャンブル好きで直感的な鷹。格闘技マニアの中学教師の勲。元ホストで女性に声をかけずにはいられない美形の葵。読書家で思索的で聡明な大学教授の悟。この4人の男たちは、知代と別れるくらいならばみんなで一緒に暮らそうと、和代と由紀夫ととも「6人家族」として生活してきたのであった...。
まず、この小説の魅力は会話の上手さ。ジワっと笑えるせりふの中に、ハッとする真実が隠されてて、一気にのめり込まされた。そして、Storyの上手さ。電線での脱出映画、手旗信号、"E.T."の着メロといった前半でこれでもかとちりばめられた伏線たちが、後半に向かうにつれて着実に生きてくる。この伏線がつながる瞬間が読んでて、とっても気持ちいい。ま、正直、一気につながりすぎて、そこまで綺麗にいかねえだろっとも思ったけどね。
それにしても、この作品は単なるエンタメだけでなく、父親として何を子どもに教え伝えるのかということも、そこはかとなく、伝わってきた。まさに、自分の好きな伊坂作品。さ、次は「バイバイ、ブラックバード」だな。
cf.伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000/2003)
- ラッシュライフ (2002/2005)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003/2006)
- 重力ピエロ (2003/2006)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003/2006)
- チルドレン (2004/2007)
- グラスホッパー (2004/2007)
- 死神の精度 (2005/2008)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2008)
- 砂漠 (2005/2008)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
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