「ロック母/角田光代」を読んだ
昔から気になってた作家 角田光代氏。で、松本駅の駅ビルにあった本屋で買って読んでみた「ロック母」(講談社文庫)について。
これ、7つの短編小説集。それぞれのあらすじを書いてみると。
・「ゆうべの神様」:
高校生のマリコの両親は喧嘩ばかりして、近所の人々はその噂話ばかりしてる。そんな家庭や毎日にうんざりしているマリコは緑に髪を染めてるガンジは交際していた...。
・「緑の鼠の糞」:
クソ暑いタイ、バンコクの南の街の寺で会ったコウちゃんと出会い、脳髄に届く香辛料いっぱいのタイ料理を食べて、ぶっ飛ぶ...。
・「爆竹夜」:
旧正月の上海にやってきた。列を守らないバスを待つ人々や目の前に痰を吐かれる人々にイライラし、何時間も待ってもチケットが買えずにいて、タバコをねだられてメグロに住むヨウコさんへ手紙を托させれたる。嫌なことばかりが起こる上海...。
・「カノジョ」:
アパートに引っ越してから、さまざまなトラブルが降りかかって来る。開けられない牡蠣にイライラし、湿気だらけの部屋には茸が生えて、ハエが大量発生した。これは、畠田大介の元妻"みよ子"の生き霊のしわざだと想わざるをえない...。
・「ロック母」:
私が10年ぶりに出産のため故郷の島へ戻っくると、母は私が実家に残して行ったレコードやCDを大音響で聞くという生活をしていた。しかも人形の服を作りながら...。
・「父のボール」:
私達の住む家は坂の途中にあり、上の方の家から、不幸が下の家に連鎖するという迷信を父は信じていた。不幸は坂を転がってくるボール玉であるという父は言う。その不幸のボール玉を弾き返すために、護符の様なものを父は玄関に貼っていた...。
・「イリの結婚式」:
ガイドブックの仕事のために、中国ウイグル自治区のウルムチにやってきた私。漢族の運転手の孫君に何かにつけてつっかかるウイグル人のガイドのアミナさんを見て、ハムスターがきっかけに別れた自分と佐々男のことを思い出す...。
自分的によかったのはやっぱ「ロック母」。主人公が実家に残して行ったレコードやCDを大音響で聞きまくる母。彼女が聞くのは、ガンズ、レッチリ、U2、ポーグス、クラッシュ、ピストルズ、イギー・ポップそしてニルヴァーナ。しかもニルヴァーナは「ブリーチ」よりも「ネバーマインド」が中でもお気に入りのらしい。そんな壊れた母親が大音量でロックを聴く理由は、人を攻撃するためではなく、自分を防御するため。近親憎悪やうざい町の人々といったいやーな感じがジワジワ伝わってきた。
サザンの関口氏が昔この本を薦めてた。ミッシェルのLast Live映画「"THEE MOVIE"-LAST HEAVEN 031011-」の寄稿文を角田さんは書いてた。やっと交差できた作家さんだ。
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