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Tuesday, July 20, 2010

「カシオペアの丘で/重松清」を読んだ

Kiyoshishigematsu_cassiopea1Kiyoshishigematsu_cassiopea2 ずーっとジワジワ読んでる重松清氏。これは名作!と教えていただいて、桜新町Tsutayaで買って、上海出張で一気に読んだ 「カシオペアの丘で」</>(講談社文庫)について。

 こんな話。かつて炭鉱業で栄えた北海道の北都市は、倉田鉱業の撤退により衰退の一途をたどっていた。倉田鉱業の創始者"倉田千太郎"の孫"俊介"は、小学5年生の秋に起きたある出来事をきっかけに、故郷に背を向けて以来、一度も北都へ帰ることはなかった。東京でサラリーマンとなり、妻"恵理"の実家の婿養子となって倉田の姓まで捨てた俊介だが、39歳の秋に肺の悪性腫瘍という末期ガンの宣告を受ける。愛する妻と息子"哲生"を残して逝くことに苦悩する俊介。そして、やっておかねばならない宿題のため、自分たちの夢だった丘の上の遊園地"カシオペアの丘"へ向かう...。

 ぼくはゆるしてもらえるんでしょうか。ゆるされて、しぬことができるんでしょうか。

 4人の幼なじみであるトシ、シュン、ミッチョ、ユウちゃんを引き裂いた哀しい事故、町を襲った悲劇、学生時代の隠された過去、東京のニュータウンで起きた女児殺害事件、観音様に託された贖罪...。すべての登場人物のそれぞれの心の中に封印されていた思いがあって、観音様に導かれるように丘の上でもう一度再会して、その封印された思いが一気に噴出する邂逅と贖罪がこの物語のTheme。消えてゆく命と断ち切られた命と生まれなかった命とこれからも生きてゆく命が、満天の星の下でひとつになっていく。

 で、この物語の終盤は本当にやばい。そこまで読んでいて2回ほど涙がでたシーンがあったけど、一番やばかったのはシュンの誕生日を祝うシーンを読み出したあたり。このシーンにすべてのわだかまりと重いが邂逅してて、嗚咽するほど泣いてしまった。やられました、重松さん。
 ともかく揺さぶられた小説だった。重松氏の小説では、「その日の前に」「いとしのヒナゴン」が自分の中で2大感動作だったんだけど、この「カシオペアの丘で」も加わりました。教えてくれたありがとう、Nomさん。ほんとよかったです、読めて。

cf. 重松清 読破 List
- 舞姫通信 (1995)
- 見張り塔からずっと (1995)
- ナイフ (1997)
- カカシの夏休み (2000)
- ビタミンF (2000)
- リビング (2000)
- 口笛吹いて (2001)
- 流星ワゴン (2002)
- きよしこ (2002)
- 熱球 (2002)
- 疾走 (2003)
- 卒業 (2004)
- いとしのヒナゴン (2004)
- みんなのなやみ (2004)
- その日のまえに (2005)
- きみの友だち (2005)
- 小学五年生(2007)
- カシオペアの丘で(2007)
- くちぶえ番長 (2007)
- ブルーベリー (2008)
- みぞれ (2008)
- あの歌がきこえる (2009)
- 再会 (2009)

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