「国境事変/誉田哲也」を読んだ
ずっと読み続けてる作家の誉田哲也氏。世田谷中央図書館で借りて読んだ「国境事変」(中央公論新社)について。
こんなあらすじ。対馬南署の刑事生活安全課へ配属になった"桑島"。ここ対馬は、九州本土と韓国釜山の間にある国境の島。そんな対馬で不審な人物が目撃され、ゴムボートの残骸らしきものが発見された。かたや、新宿で朝鮮籍の在日三世の会社社長が撲殺死体で発見された。警視庁捜査一課の"東弘樹"は、新宿署に設置された捜査本部に参加し、被害者の弟"呉英男"の事情聴取を担当することになった。その呉英男は、本庁公安部に席を置く外事二課の"川尻冬吾"によって、兄が社長を勤める貿易会社の内部情報を調べる工作員をしていた。この殺人事件を巡り対立する警視庁捜査一課と公安外事二課。そして彼らは国境の島へ向かう...。
これ、誉田哲也氏、真骨頂の渾身の警察小説。"ジウ3部作"で美咲と共にジウを追った東警部補が属する捜査一課。ただただ事実や状況を冷静に見続けて、個人の感情は交えずにその組織のトップにReportするという公安の仕事に疑問を持ちながら監視し続ける川尻が属する公安外事二課。彼らは、捜査で得た情報をまったく共用しない。そんな組織の壁と対立を、それぞれの立場から描いてる。加えて、在日と呼ばれる人々が置かれている状況とか北朝鮮の現状とかアメリカの思惑までが絡んで、話が重厚に進んでいく。
ともかくこの小説は、話が散漫にならず、壮絶なラストまで集中して一気に読める。それにしても、ここ最近の長野出張は完全に読書Timeになっている。この「国境事変」も先週の長野出張でたくさん読めた。まだまだ、読み続けたい誉田哲也氏の作品だ。
cf.誉田哲也 読破 List
- アクセス (2004)
- 春を嫌いになった理由 (2005)
- 疾風ガール (2005)
- ジウI 警視庁特殊犯捜査係 (2005)
- ストロベリーナイト (2006)
- ジウII 警視庁特殊急襲部隊 (2006)
- ジウIII 新世界秩序 (2006)
- 月光 (2006)
- ソウルケイジ (2007)
- 武士道シックスティーン (2007)
- 国境事変 (2007)
- シンメトリー (2008)
- ハング (2009)
- インビジブルレイン (2009)
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