「正義のミカタ I'm a loser/本多孝好」を読んだ
ちょいちょい読んでる本多孝好氏の作品。で、二子玉川の紀伊国屋書店で買って読んだ「正義のミカタ I'm a loser」(集英社文庫)について。
こんなあらすじ。高校時代、すさまじいいじめられっ子だった蓮見亮太。一念発起して大学を受験して、通称スカ大に合格。晴れてキャンパスライフを満喫できるはずが、高校のいじめの主犯まで入学していた。で、ひょんなことから「正義の味方研究部」に入部し、大学で起こるさまざまな事件に関わっていく...。
この小説の前半は、負け犬だった主人公亮太の人生が、友達ができ、尊敬できる先輩や素敵な女の子にも出会い、どんどんよくなっていく。でも、後半はかかわっていく人々のもう1つの顔を知ることによって、正義ってなんだろうってことに悩んでいく。自分達は"正義の味方だ"って思って動いてきたけど、自分達が見ている正義、この"正義の見方"って本当に正しいんだろうかというのが、この物語のテーマ。世間の不公平とか、見かけや持ってるものに左右される人の偏見とかに、元いじめられっ子が気づいて、悩んで、自分なりの答えをみつけようとしていく。とてもコミカルで、結構暴力的なんだけど、全体トーンとしては、とてもさわやか。最後の最後はちょっとわかりづらかったけど、イッキに読めた。
それにしても、今まで読んできた本多孝好氏の作品って、男女の機微とかミステリーとか人生の深読み系の小説が多かったけど、これは完全に大人になっていく少年の青春小説。芸風広くて、さらに好きになった。また他の作品も読んでみたいと思った本多孝好氏だった。
cf.本多孝好 読破 List
- MOMENT (2002)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- Fine Days (2006)
- 正義のミカタ I'm a loser (2007)
- WILL (2009)
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