「ランプコントロール/大崎善生」を読んだ
ひさびさに読みたくなった大崎善生氏。で、世田谷区中央図書館で借りた「ランプコントロール」(中央公論新社)について。
こんな話。ドイツへの転勤を命じられた大手出版社勤務の"直人"。学生時代からつきあっていた恋人の"理沙"は、病気の父親がいるため、ドイツに一緒に行くことは拒んだ。決定的な別れを避けながら、ドイツと広島に離れ離れになっていく。直人はドイツから何回も理沙に連絡を取ったが、音信不通になってしまう。やがて、ドイツの直人はステファニーと新しい恋に落ちていく...。
このランプコントロールとは、飛行場の滑走路にあるランプのこと。このランプという灯が、飛行機が無事に着陸できるような役割を果たしている。で、以前読んだことがある大崎善生氏の短編「別れの後の静かな午後」に通じる長編小説なんだけど、ドイツ・フランクフルトでの生活で修復した主人公は、日本に帰国してから、衝撃な事実に遭遇する。で、この話、生々しい描写が多く、情熱的で、ご都合主義的な内容ではあるんだけど、トーンとしては凛とした透明感にあふれている。このあたりは、さすが大崎善生氏という感じ。そして、このLastは凄かった。電車の中で読んでいたんだけど、思わず涙が出てしまった。うーん、感動しました。
というわけで、Cyndi Lauperの"Time After Time"とEric Claptonの"Change the World"が聴きたくなった大崎善生氏の小説だった。
cf.大崎善生 読破 List
- 将棋の子 (2001)
- パイロットフィッシュ (2001)
- アジアンタムブルー (2002)
- 九月の四分の一 (2003)
- ドナウよ、静かに流れよ (2003)
- ロックンロール (2003)
- 孤独か、それに等しいもの (2004)
- 別れの後の静かな午後 (2004)
- ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶 (2005)
- 優しい子よ (2006)
- タペストリーホワイト (2006)
- 傘の自由化は可能か (2006)
- スワンソング (2007)
- ディスカスの飼い方 (2009)
- ランプコントロール (2010)
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