「季節風 冬/重松清」を読んだ
なんだかんだで飽きずに読んでいる重松清氏の作品。今回読んだのは、世田谷中央図書館で借りた「季節風 冬」(文春文庫)について。
これ、春・夏・秋・冬の4つの季節を描いた4冊の短編集「季節風」の中から、冬をテーマにした「季節風 冬」。「あっつあつの、ほっくほく」、「コーヒーもう一杯」、「冬の散歩道」、「サンタ・エクスプレス」、「ネコはコタツで」、「ごまめ」、「火の用心」、「その年の初雪」、「一陽来復」、「じゅんちゃんの北斗七星」、「バレンタイン・デビュー」、「サクラ、イツカ、サク」の12個の短編が収録されていた。
で、個人的によかったのは「その年の初雪」と「バレンタイン・デビュー」。「その年の初雪」は父親の転勤に振り回され、せっかくできた友達と別れる少年の話。転勤のことをはじめて伝えるとき、寂しさと照れくささ。ちょうど今年初めて降った雪を、口をあけて走って食べるシーンがよかった。なんか俺もやった気がする。で、「バレンタイン・デビュー」。心配性の父親が、息子がバレンタインデイでチョコがもらえなくても、変に家族はかまうなと奥さんと娘に言うシーンがあたりの感覚って、なんかわかる。小学生のころって、ほんとクラスのかっこいい奴だけがもらえた感じで、もらえないことはわかっていても、やっぱりどこか寂しかった。で、結局もらったのは、母親と妹と隣のおばさんだけだったことを、なんか思い出した。
というわけで、普通の人々が感じる感覚を書かせたら、相変わらず無敵状態の重松清氏。最近のめちゃめちゃ寒い季節を、暖かくしてもらいました。
cf. 重松清 読破 List
- 舞姫通信 (1995)
- 見張り塔からずっと (1995)
- ナイフ (1997)
- カカシの夏休み (2000)
- ビタミンF (2000)
- リビング (2000)
- 口笛吹いて (2001)
- 流星ワゴン (2002)
- きよしこ (2002)
- 熱球 (2002)
- 疾走 (2003)
- 卒業 (2004)
- いとしのヒナゴン (2004)
- みんなのなやみ (2004)
- その日のまえに (2005)
- きみの友だち (2005)
- 小学五年生(2007)
- カシオペアの丘で(2007)
- くちぶえ番長 (2007)
- 青い鳥 (2007)
- ブルーベリー (2008)
- みぞれ (2008)
- 季節風 冬 (2008)
- あの歌がきこえる (2009)
- 再会 (2009)
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