「マリアビートル/伊坂幸太郎」を読んだ
新作をいつも心待ちにしている作家のひとり、伊坂幸太郎氏。あの「グラスホッパー」の続編で、世田谷中央図書館に予約していた最新作「マリアビートル」(角川書店)。やっと読めた。
こんなあらすじ。アル中の元殺し屋"木村"は、幼い息子をビルから飛び下ろさせ重傷を負わせた悪魔のように狡猾な中学生"王子"に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線はやてに乗り込んだ。取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する2人組の殺し屋"蜜柑"と"檸檬"は、はやての中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも盗まれてしまう。そして、そのトランクの身代金強奪を指示された殺し屋"七尾"は、奪ったトランクを手に上野駅で新幹線を降りるはずだったが...。
この長編書き下ろし小説の凄さは、まずは登場人物のキャラ。一般の乗客を一切登場させず、怒りまくる木村、一切のツキに見放された七尾、冷静な読書家の蜜柑、機関車トーマス好きの檸檬といった個性派の殺し屋たちに、読んでるこっちまで不快になってくる残忍な王子。そして、前作「グラスホッパー」に登場した殺し屋たちも参戦して、狭い"はやて"の中で、スリリングに展開する。しかも、彼らの会話は、絶妙。名作「悪霊」と「機関車トーマス」がかみ合うわけがないんだけど、そこから学ぶエッセンスがちりばめられている。このあたりは、さすが伊坂さん!という感じ。
ともかく、読後すっきりといった小説ではないけど、読んでいる時間が本当に楽しいという小説だった。
cf.伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000/2003)
- ラッシュライフ (2002/2005)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003/2006)
- 重力ピエロ (2003/2006)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003/2006)
- チルドレン (2004/2007)
- グラスホッパー (2004/2007)
- 死神の精度 (2005/2008)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2008)
- 砂漠 (2005/2008)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
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