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Wednesday, February 09, 2011

「存在という名のダンス/大崎善生」を読んだ

Yoshioosaki_sonzai1Yoshioosaki_sonzai2 先日読んだ「ユーラシアの双子」。ひさびさに大崎善生氏の世界を堪能し、そのままの勢いで世田谷中央図書館で借りて読んでみた同じ大崎氏の「存在という名のダンス」</>(角川書店)について。
 こんなあらすじ。舞台は、北海道岩見沢にある、孤児院と病院と学校が一緒になったような、厳しいルールと鉄条網で世間から隔離された全寮制の施設。身寄りのない子供や親と一緒に暮らせない子供たちが住むその施設は"梟の森"と呼ばれていた。で、その施設は、戦争中に多くの人間の死を見て、人間の憎悪を知った医師"加納重吾郎"が、子供たちの教育のために作った場所だった。その"梟の森"で暮らす小学6年生"相川宗太"は、函館の病院にいる父の危篤を知り、父に会うために、厳しく管理統制され、外の世界との接触は禁じられている施設を脱走する...。
 この作品は、隠れキリシタンの弾圧やナチの犠牲になったユダヤ人などに通じる人間の残忍な憎悪と、それに立ち向かう少年たちの戦いを描いたFantasy小説。父を乗り越えて、仲間を作って守って助けられるという少年の成長の物語。人に憑依するみたいなオカルト的な要素や、凶暴で残虐で人を噛み殺すヒグマなども出てきて、今まで読んできた大崎善生氏の作風とはあまりに違っていて、正直ビックリ。恋愛とかを中心に、精神世界を描いてきた著者が、まるでRoll Playing Gameを作った印象。若干強引な展開で、中身的にはちょっと微妙な部分もありつつ、善と悪という人間が持つ2つの真実をきっちりと見ようとした姿勢が伝わってくる。ともかく大崎善生Fanは絶対ビックリすると思う。そんな不思議な小説。

cf.大崎善生 読破 List
- 将棋の子 (2001)
- パイロットフィッシュ (2001)
- アジアンタムブルー (2002)
- 九月の四分の一 (2003)
- ドナウよ、静かに流れよ (2003)
- ロックンロール (2003)
- 孤独か、それに等しいもの (2004)
- 別れの後の静かな午後 (2004)
- ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶 (2005)
- 優しい子よ (2006)
- タペストリーホワイト (2006)
- 傘の自由化は可能か (2006)
- スワンソング (2007)
- ディスカスの飼い方 (2009)
- 存在という名のダンス (2010)
- ランプコントロール (2010)
- ユーラシアの双子 (2010)

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