「at Home/本多孝好」を読んだ
ちょいちょい読んでる本多孝好氏の作品。で、今回は世田谷中央図書館で借りて読んでみた「at Home」(角川書店)について。
これ、家族をテーマにした4つの話が収録された短編集。で、その4つともがいびつで、不安定でふぞろいな家族が描かれている。親子や子供達が泥棒、結婚詐欺師、偽造師などそれぞれに特殊な職業につきながらも強い繋がりをもった家族を描いた表題作「at Home」、距離を置きながらも同志のような関係を保っている義理の父娘を描いた「日曜日のヤドカリ」、一度家庭を壊し人生を放棄しかけている男とヤクザによって紙面だけの結婚をした日本語が話せないブラジルの女を描いた「リバイバル」、そして、妹夫婦の息子を預かったとき、息子の体の痣で妹によるDVに勘づいてしまった兄たちを描いた「共犯者たち」の4つの家族が描かれている。
で、どの話も、いい意味で乾いていて、湿っぽくない。でも、どこか温かくて、いろんな距離を持っている家族を、そしてそこにある脆いけどなかなか消えない絆を描いている。それぞれに奇抜でありえない状況において、淡々としてる。自分の家族のことも考えてしまったり、自分の帰る場所って、どこだろって思ったりした。本多孝好氏の文体って、やっぱり好きだ。また今度、なにか読んでみよう。
cf.本多孝好 読破 List
- MOMENT (2002)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- Fine Days (2006)
- 正義のミカタ I'm a loser (2007)
- WILL (2009)
- at Home (2010)
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