「回転木馬のデッド・ヒート/村上春樹」を読んだ
なんだかんだで読み続けている村上春樹氏。で、20数年前の大学生だった頃読んだ「回転木馬のデッド・ヒート」(講談社文庫)。本棚から引っ張り出して、もう一度読んでみた。
これ、本の紹介文によると....。「都会の奇妙な空間、人生というメリー・ゴーラウンド そこでデッド・ヒートを繰りひろげるあなたに似た人―。現代の奇妙な空間―都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人…、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。」。...なんか凄く大袈裟な感じだ。自分の読んだ後の印象は、そこまで大袈裟ではなくて、普通に生きている僕達になにかを訴えてくる短編集という感じ。
「はじめに・回転木馬のデッド・ヒート」、「レーダーホーゼン」、「タクシーに乗った男」、「プールサイド」、「今は亡き王女のための」、「嘔吐1979」、「雨やどり」、「野球場」、「ハンティング・ナイフ」が収録されているんだけど、個人的によかったのは、「野球場」。野球場の近くに部屋を借りて、その部屋から夢中になった女の子の生活を望遠レンズで覗き続ける男の子の話。背徳行為であることはわかっていて、ねばねばと嫌な汗とその匂いに嫌気がさしながらも、覗き続ける話。透明感があるんだけど、どこか訴えてきた短編だった。
というわけで、前回読んだ気分を忘れてしまい、新鮮に読めたこの短編集。日常生活の中で、じわっとなにかに侵食された気分になった不思議な短編だった。
cf.村上春樹 読破 List
- 風の歌を聴け (1979)
- 中国行きのスロウ・ボート (1980)
- カンガルー日和 (1981)
- 象工場のハッピーエンド/村上春樹・安西水丸 (1983)
- 回転木馬のデッド・ヒート (1985)
- パン屋再襲撃 (1986)
- レキシントンの幽霊 (1986)
- ランゲルハンス島の午後/村上春樹・安西水丸 (1986)
- ノルウェイの森 (1987)
- TVピープル (1990)
- もし僕らのことばがウィスキーであったなら (1997)
- ふわふわ/村上春樹・安西水丸 (1998)
- Mr.and Mrs.Baby and Other Stories-犬の人生/Mark Strand-マーク・ストランド (1998)
- 神の子供たちはみな踊る (1999-2000)
- 海辺のカフカ (2002)
- アフターダーク (2004)
- 東京奇譚集 (2005)
- ふしぎな図書館/村上春樹・佐々木マキ (2005)
- 走ることについて語るときに僕の語ること (2007)
- 1Q84 a novel BOOK 1<4月-6月> (2009)
- 1Q84 a novel BOOK 2<7月-9月> (2009)
- 1Q84 a novel BOOK 3<10月-12月> (2010)
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