「夜行観覧車/湊かなえ」を読んだ
「告白」を読んで結構ハマった湊かなえ氏。世田谷中央図書館に予約してやっと順番がまわってきた「夜行観覧車」(双葉社)について。
こんな話。"ひばりヶ丘"という高台にある高級住宅地に住むエリート一家で、父親が被害者で母親が加害者というセンセーショナルな事件が起きた。事件が起きた高橋家、その向かいに住む遠藤家、そして昔からひばりが丘に暮らす小島家。それぞれの視点で事件が語られていく...。
そもそもは無理をして、見栄を張って、小さな家で暮らす遠藤家では、娘"彩花"が母親に対してキレまくっいた。亡くなった前妻への虚栄心で母親"淳子"は、息子"慎司"へ過度な期待をかけ続けていた。そして、生え抜きの住人"小島さと子"は、街に対する執拗な思いを持っていた。そんな価値観がズレまくった家族たちを、悪意満々に描かれてる。Lastは正直、強引に持っていった気がするけど、妙にリアルで、これって今の日本の村社会を、暴いて、えぐり出してる。特に親の過度な期待とか胸が痛んだ。愛情の裏返しかもしれないけど、過度な思いをもらいすぎると、本当に嫌になるし、逃げたくなるし、無視したくなるし、最後はキレたくなる。お互いの価値観がずれると、本当に最悪だ。落としどころがみえずに、みんなもがくんだろう。
湊かなえ氏を読んだのは、これで2冊目。嫌なところをえぐられて、お前はどうだと聞かれる作家だ。気になってきた。
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