「逃げる中高年、欲望のない若者たち/村上龍」を読んだ
昔からぼちぼち読んでた村上龍氏の挑発的エッセイ「すべての男は消耗品である。」。この新シリーズがメンズジョーカー誌に「すべての男は消耗品である。欲望退化篇」として連載されてて、これをまとめた1冊が、この「逃げる中高年、欲望のない若者たち」(KKベストセラーズ)。これも世田谷中央図書館で借りて、寿司屋で1時間以上も並んでるうちに、イッキに読んでみた。
このエッセイの大筋は、若者達は自らの欲望と向き合うことから逃げ、中高年は破綻から逃げ切ることだけを考え、目標を追いかける者がいなくなったこの国に、不安と閉塞感が蔓延するというもの。ユニクロのヒートテックとプレミアムダウンがあれば冬は快適で、ABCマートで靴を買って、サイゼリアでそれなりのイタ飯を食べて、ドン・キホーテで必需品をそろえて、ニトリで家具を買って、ヤマダ電機で薄型テレビを買えば、それほどのお金がなくても快適な暮らしができる。昔は欲しいものがあれば、海外に出て、手に入れていたが、その必要性を感じない。欲望を失った若者たちは衰退していく国家の象徴なのかと、村上氏は憂いている。昔はこうだったと言い続けるのも、いいとは思えない。でも、どこかイラつく。変わったようで変わっていない龍さんに、どこかうれしくなった。自分はもうとっくに中高年。せめて好奇心だけは失わずに、生活したいもの...。
cf.村上龍 読破 List
- 限りなく透明に近いブルー (1976)
- コインロッカー・ベイビーズ (1980)
- 69 sixty nine (1987)
- 愛と幻想のファシズム (1987)
- 超電導ナイトクラブ (1991)
- 長崎オランダ村 (1992)
- 昭和歌謡大全集 (1994)
- 五分後の世界 (1994)
- ヒュウガ・ウイルス~五分後の世界II (1996)
- ストレンジ・デイズ (1997)
- イン ザ・ミソスープ (1997)
- 共生虫 (2000)
- 希望の国のエクソダス (2000)
- 2days 4girls (2002)
- 半島を出よ (2005)
- 空港にて (2005)
- 盾 Shield (2006)
- 美しい時間/小池真理子・村上龍 (2006)
- 案外、買い物好き (2007)
- 歌うクジラ (2010)
- 逃げる中高年、欲望のない若者たち (2010)
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