「永遠の0(ゼロ)/百田尚樹」を読んだ
去年2010年の夏、本屋でやたらと目に付いた百田尚樹氏の「永遠の0(ゼロ)」(太田出版)。せっかくなんで、世田谷中央図書館で借りて読んでみた。
こんな話。司法試験もうまくいかず、人生の目標を無くしかけてる健太郎は、フリーライターの姉 慶子と共に、太平洋戦争ととき特攻隊で戦死した祖父 宮部久蔵のことを調べ始める。何人もの元戦友たちの話を聞いていくうちに、仲間から卑怯者といわれた零戦パイロットという宮部久蔵の姿が浮かび上がってきた...。
これ、生きて妻の元に帰ることだけを心の糧に、パイロットとして凄い腕を持ちながらも、異常なまでに死を恐れ、生きることへの執着を臆面もなく口にし続けた零戦パイロットの姿を描いた作品。真珠湾、ミッドウェー海戦、ガダルカナル海戦とか、航空隊やその戦闘について緻密に描かれてて、過酷な戦況が迫力と共に伝わってきた。マスコミに踊らされ、火の玉総玉砕という無駄な愛国心が蔓延する中、カミカゼ特攻隊として散っていった人々の遺書の行間の部分は、本当に歯がゆかった。カミカゼ特攻隊は、911と同じテロリストだと言い切った奴らに腹が立った。そして、生きて帰るという妻との約束にこだわった男が、最期に特攻隊に志願してしまった本当の理由がわかったときは、つらかった。ひさびさに魂こもった作品に出会えました。
cf.百田尚樹 読破 List
- 永遠の0(ゼロ) (2006)
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