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Wednesday, June 29, 2011

「呼人/野沢尚」を読んだ

Hisashinozawa_yohito 何年か前に、Sktkさんから紹介受けた野沢尚氏の長編小説「呼人」(講談社文庫)。世田谷中央図書館で借りて、読んでみた。
 こんな話。1985年、12歳になった呼人の成長は、突然止まってしまう。友達の厚介、潤、小春は、だんだんと大人になっていき、呼人だけ、体も心も12歳のままで、決して成長せず、彼らのそれぞれの人生を12歳の視点で、見つめ続けていた。そして呼人は、大人になること、そして自分自身をみつけるために、赤ん坊の時に捨てられた母親探しの旅に出たのだった...。
 これ、殺戮と紛争と暴力とテロリズムが猛威をふるう世相の中、12歳のままという永遠の命の中に、閉じ込められた少年の話。愛とか友情とか、純粋な子供のままで生きていくことは、本当に幸せなのかをテーマにした物語。ぶっちゃけ、歳を取るたびに、恥ずかしくなったり、情けなくなったり、若干さみしくなったりする今日この頃。大人になって、いろいろわかることと、子供のままで、わからないままでいることの天秤って難しい。出生の秘密など、荒唐無稽な出来事が起き続けるけど、うさんくさくないのは、きっと野沢尚さんのうまさによるものだろう。
 ともかく、人と人とのつながりとか、想像以上に重みのある小説だった。確かに面白い。

cf. 野沢尚 読破 List
- 呼人 (1999)

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