「延長戦に入りました/奥田英朗」を読んだ
なんとなく好きな作家のひとり、奥田英朗氏。ほとんど読み尽くしてしまったので、三茶のTsutayaで買ってみた「延長戦に入りました」(幻冬舎文庫)について。
これ、奥田英朗氏のスポーツをネタにした愛あふれるボロクソなエッセイ。ボブスレーの2番目の選手は何をしているのか?とか、胴着などは絶対洗えず異臭まみれの女子剣道部の悲哀とか、ガニ股を余儀なくされる女子スケート選手とか、高校野球地方予選のスコアからみる完全想像の試合経過とか、小学校時代はなぜか足の速い奴が尊敬されるのかとか、ホームランを打たれた直後のピッチャーの表情とか、完全に妄想と自虐という視点で描かれている。スポーツ選手や関係者の繊細な心の機微とか葛藤を、ここまで暴言こめて書かれると、思わず笑ってしまう。
それにしても、奥田英朗氏の書く小説のおもしろさは、こんな思いもしない着眼点にあるんだなってことを、再認識。馬鹿馬鹿しいけど、愛情があるとなにを言ってもいいんだな。というわけで、現在、世田谷中央図書館に最新作の「純平、考え直せ」を予約中。早く読みたい。
cf.奥田英朗 読破 List
- B型陳情団 (1990)
- ウランバーナの森 (1997)
- 最悪 (1999)
- 邪魔 (2001)
- 東京物語 (2001)
- イン・ザ・プール (2002)
- 延長戦に入りました (2002)
- マドンナ (2002)
- 真夜中のマーチ (2003)
- 空中ブランコ (2004)
- サウスバウンド (2005)
- ララピポ (2005)
- ガール (2006)
- 町長選挙 (2006)
- 家日和 (2007)
- オリンピックの身代金 (2008)
- 無理 (2009)
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