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Thursday, July 14, 2011

「苦役列車/西村賢太」を読んだ

Kentanishimura_kuekiressha 2010年下半期、第144回芥川龍之介賞を受賞したときの西村賢太氏のインタビューは、あまりにインパクトが凄かった。で、やっと世田谷中央図書館で順番が回ってきて、速攻読んでみた西村賢太氏の「苦役列車」(新潮社)について。
 こんな話。友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫多。こんな生活とも云えぬような生活は、一体いつまで続くのであろうか。そんあ或る日彼の前に日下部という人物が現れ、生活に変化が訪れたが...。
 トイレや風呂のないアパートに住み、家賃滞納と強制退去を繰り返し、肉体労働で生計を立て、繁華街の風俗店で衝動を処理をする日々。そして自身の父親は、性犯罪強盗事件を起している。西村賢太氏の人生や生活を、そのまま描いたのが、この「苦役列車」かと思う。
 ドロドロで不快で怠惰で、あまりに明日がない。日雇いの仕事と居酒屋と風俗店という無限ループから脱出しようとせず、持ち前の過剰な自意識が、貫多に卑屈な態度をとらせる。そこにちょっとしたユーモアもあったりする小説。あと味も悪くもよくもない。ただ、底辺のまま、変わらないということ。
 で、この本には、もう1つ、「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」という後日談がある。貫多が小説を書き始めてからの日々が書いてある。で、性格は、相変わらず、ひねくれてる。なぜ小説を書き出したのか。「苦役列車」から「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」へつながる話が知りたくなった。
 芥川賞を受賞時、西村賢太氏が言った「今から、風俗行きます。祝ってくれる友だちもいませんし、連絡する人も誰もいません」。こんな言葉をはいた、受賞者は聞いたことがない。読んでみて、自分の言葉を持ってる人だと思った。

cf. 西村賢太 読破 List
- 苦役列車 (2011)

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» 苦役列車(西村賢太) [本の推薦堂]
苦役列車 遅ればせながら第144回芥川賞受賞作品である「苦役列車」を読んだ。美女と野獣と称されたダブル受賞(失礼な)と西村賢太の風貌や言動が注目された。 インタビューを観たときに、やはり西村賢太の方が魅力的だった。無論、朝吹真理子の「きとこわ」も芥川賞なわけで甲乙付けがたいのだろうが、私小説なるものに興味があった。 彼の経歴をざっとテレビで見聞きした程度で、物凄い文章を書くのではないかと思った。特に私小説なればこそである。 結論から言えば、私小説だろうがあまり違和感無く読めた。読後感もいい。自分の知... [Read More]

Tracked on Wednesday, August 03, 2011 10:53

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