「純平、考え直せ/奥田英朗」を読んだ
ここ数年、ずっと好きな作家のひとり、奥田英朗氏。もう、ほぼすべてを読み尽くしてしまった中、世田谷中央図書館でやっと順番が回ってきた「純平、考え直せ」(光文社)について。
こんな話。新宿・歌舞伎町のチンピラ"坂本純平"は21歳。心酔する兄貴分"北島"の命令は何でも聞き、女は苦手だが、困っている人は放っておけない性分。そんな純平は、組長から鉄砲玉という暗殺指令を受ける。決行までの3日間、自由な時間をもらい、様々な人びとと出会い、ネット掲示板では、はからずも「噂の男」になってゆくのだが...。
昔かたぎで、肩肘張ってて、結構純粋で、たまに冴えてて、人とのかかわりを大事にするチンピラ純平。そんな純平のドタバタな3日間を描いたヤクザな青春小説。この純平もそうだけど、出てくる人々がみな魅力的なキャラばかり。日本最大の歓楽街で、本音と建前がいいバランスで混じってて、ほんとに純平に考え直して欲しいと思いつつ、一気に終わりまで完読してしまった。それにしても、この終わりは凄い。いい意味で気持ちが残ったまま、ふぅーっと上を見上げてしまった。
奥田英朗氏って、ほんとに設定や背景作り、そして人物作りがうまい作家だ。極端でありえないと思っていても、ズブズブと引きずり込まれた。今年読んだ本の中でも、個人的には完全上位にランクイン。疲れた心と脳みそに元気をくれた本です。お勧めします。
cf.奥田英朗 読破 List
- B型陳情団 (1990)
- ウランバーナの森 (1997)
- 最悪 (1999)
- 邪魔 (2001)
- 東京物語 (2001)
- イン・ザ・プール (2002)
- 延長戦に入りました (2002)
- マドンナ (2002)
- 真夜中のマーチ (2003)
- 空中ブランコ (2004)
- サウスバウンド (2005)
- ララピポ (2005)
- ガール (2006)
- 町長選挙 (2006)
- 家日和 (2007)
- オリンピックの身代金 (2008)
- 無理 (2009)
- 純平、考え直せ (2011)
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