「日曜日たち/吉田修一」を読んだ
ちょっとづつ読んでる作家のひとり、吉田修一氏。三茶のTsutayaで買ってみた「日曜日たち」(講談社文庫)について。
こんな話。別々に東京で生きている5人を結ぶのは、ありふれた日曜日。その5人の日曜日は、それなりに特別な日曜日だった。30歳の仕事のない男が日曜日ごとに訪れていた恋人を思い出し("日曜日のエレベーター")、酔って睡眠薬を飲まされ、家に侵入された友人の話を聞いた女性が自分のことのように恐怖を感じ("日曜日の被害者")、恋人の暴力に耐えかねたOLが、NPOの自立支援センターに足を運ぶ("日曜日たち")。そんな彼らを繋げるのが、家出をしてきた小学生の兄弟たち。その兄弟たちに寿司をおごってあげて("日曜日の新郎たち")、兄弟を置いて逃げた母親の住むまで家まで送ってあげる("日曜日の運勢")。それぞれの5人は、東京の喧騒と鬱屈した暮らしの中で、もがきながら生きていた...。
これ、5つの話がクロスオーバーしていく連作短編集。閉塞と理不尽な中に、ほんの少しの希望が生まれて、嫌なことばっかりでもなかったとつぶやく。結局、タフでしぶとくて、前を向いてる。読み終えて、いい本だったなと思った。
cf.吉田修一 読破 List
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- ランドマーク (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- 静かな爆弾 (2006)
- 悪人 (2007)
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