「KAGEROU/齋藤智裕」を読んだ
水嶋ヒロ氏(本名 齋藤智裕)が第5回ポプラ社小説大賞受賞として、若干のうさんくささと出来レースっぽさも感じつつも、世田谷中央図書館で借りて読んでみた「KAGEROU」(ポプラ社)について(いまさらだけど...)。
こんな話。会社をリストラされ、多額の借金を抱えた男ヤスオは、絶望のあまり廃墟ビルの屋上遊園地のフェンスから投身自殺を図ろうとしたが、黒服の男キョウヤに自殺を阻止された。キョウヤは、裏社会の臓器提供グループ"全日本ドナー・レシピエント協会"の一員であり、キョウヤの勧めで、ヤスオは臓器提供の報酬を得る契約を結んだ...。
この本、ちょっとNet上の感想とかを読んでみたけど、評価は完全に真っ二つの賛否両論。深みが足りないとか、説明くささがあるとか、比喩がくどいとかいろいろ否定的な意見もあるものの、個人的には普通にっていうか、案外面白かった。病院を抜け出して、茜とヤスオが隠れている場所が簡単にみつかってしまうところとか、若干の話の浅さはあるものの、いい意味で荒っぽさがある。そして、命とか人間の価値をテーマにしつつも、大げさにせずに、さらっとと読める。しかも、たまにドキっとひっかかる。ファンタジー小説と思うと、素直に受け入れられた。くどいけど、案外面白かった。
cf.齋藤智裕 読破 List
- KAGEROU (2010)
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