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Friday, September 02, 2011

「せんせい。/重松清」を読んだ

Kiyoshishigematsu_sensei ずっと飽きないで読んでいる重松清氏の作品。今回読んだのは、世田谷中央図書館で借りた「せんせい。」(新潮文庫)について。
 これ、そのタイトル通りの先生と生徒のことを描いた6つの短編小説集。Neil Youngの曲が弾きたくて、バンド少年たちにギターを教わる物理先生の話「白髪のニール」。いじめに会い保健室登校をしてる女の子と保健室の先生の話「ドロップスは神さまの涙」。授業も美術部の顧問もほったらかしで自分の絵を描き続ける美術教師の話「マティスのビンタ」。担任をしているクラスのある男の子のことが嫌いな若い先生の話「にんじん」。甲子園出場をめざし野球部の監督を務める高校の先生が、病院でかつて教え子に再会する話「泣くな赤鬼」。そして、どもりのある少年と借金を踏み逃げした先生の話「気をつけ、礼。」。どの話も、あのとき先生が教えてくれたことが、大人になってわかるんだなっていう邂逅と理解と和解を描いたちょっと染みる話。
 で、自分的に一番染みたのは「泣くな赤鬼」。ただただ厳しく接することでしか生徒たちと向き合えなかった先生が、死を目前にした元教え子にようやく優しい言葉をかけることができ、自分のやってきたことを悔やむシーンは、涙がジワっと出た。怒ったり、ほめたり、励ましたり、嘆いたり...。それがバランスよくできないってことは、自分を含めてよくある。だから葛藤する。先生だって人間だってことを教えてくれた。
 幼稚園の先生、学校の先生、絵画教室の先生、クラスの担任、部活の先生、軟式野球部の監督、塾の先生、ゼミの教授、大学の神父さん、写真教室の先生...。今までいろんな先生にお世話になって、ほめられて、怒られて、いろいろ教えてもらった。教え子の女の子に手を出したひどい保健体育の先生もいた。いろんな意味で、子供や生徒にとって、先生って忘れられない大人だ。でも、今の自分は、どの先生とも、全然おつきあいがない。年賀状のやり取りもしていない。うーん、なんかマズイと思った...。

cf. 重松清 読破 List
- 舞姫通信 (1995)
- 見張り塔からずっと (1995)
- ナイフ (1997)
- カカシの夏休み (2000)
- ビタミンF (2000)
- リビング (2000)
- 口笛吹いて (2001)
- 流星ワゴン (2002)
- きよしこ (2002)
- 熱球 (2002)
- 疾走 (2003)
- 卒業 (2004)
- いとしのヒナゴン (2004)
- みんなのなやみ (2004)
- その日のまえに (2005)
- きみの友だち (2005)
- 小学五年生 (2007)
- カシオペアの丘で (2007)
- くちぶえ番長 (2007)
- 青い鳥 (2007)
- ブルーベリー (2008)
- せんせい。 (2008)
- みぞれ (2008)
- 季節風 冬 (2008)
- あの歌がきこえる (2009)
- 再会 (2009)

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