「OUT/桐野夏生」を読んだ
実は今まで読んだことがなかった桐野夏生氏。なんとなく気になってて、Jimakeiさん借りて読んだ「OUT」<上/下>(講談社文庫)について。
こんなあらすじ。深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。香取雅子42歳はリストラ亭主と家庭内離散に悩み、吾妻ヨシエ51歳は痴呆症の姑の介護に悩み、城之内邦子40歳はカード破産に悩み、山本弥生30歳はギャンブル狂の亭主から受ける暴力に悩んでいた。「こんな暮らしから抜け出したい」と心の中で叫ぶ彼女達をそんな生活から外へ導いたのは、弥生が衝動的に夫を殺したことがきっかけだった...。
パート仲間の夫の死体をバラバラして捨てた事件をきっかけに、平凡な4人の主婦達が日常を離脱し、脱社会化(=OUT)していく物語。その描写はあまりにグロテスクで、読んでるだけでも、血や内臓物でヌルッと手が汚れた感覚が伝わってくる。また、この4人を結ぶ結束も、決して美しい友情ではなく、金や負い目といった負の力によるところも、全体に流れる薄暗さに拍車をかけてる。そして、Lastで雅子に襲い掛かる悪夢は、この小説を、さらにドロっと、救いようのないものに仕立てている。
いい感じで、これでもかの負のオーラに包みこまれる小説だった。
cf.桐野夏生 読破 List
- OUT (1997)
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