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Friday, February 10, 2012

「水底フェスタ/辻村深月」を読んだ

Miyukitsujimura_minazokofesta ぼちぼち読んでる辻村深月氏。「オーダーメイド殺人クラブ」に続き、連続して世田谷中央図書館で借りて読んだ「水底フェスタ」(文藝春秋)について。おとといの長野出張の往復のあずさでイッキに読んだ。
 こんな話。10年前、六ヶ岳の南麓に広がる睦ッ代村は、地域振興のため東京の企業と組んで夏フェスを誘致し、いまやそのムツシロ・ロック・フェスティバル(ムツシロック)は、日本5大フェスの一つにまで成長している。この古い村で生まれ育った高校生"湧谷広海"は、フェスの最終日、8歳年上で地元出身のモデル"織場由貴美"を目撃する。村を捨てて東京でモデルとなった彼女は、一時は女優としても活躍したが、最近は目立たない状況にとどまってる。由貴美はフェスのあと、母親が死んでから無人となっていた実家で暮らしはじめ、村中がその噂で持ちきりになる。ある晩、従兄に借りたバイクでダム湖に出かけた広海は、由貴美と再会し、彼女から「村に復讐するために帰ってきた」と打ち明けられた...。
 いやー、凄まじかった。最初はあのフェスの非日常で祝祭なフェスの空間の描写から、広海と由貴美の恋愛へと読み進むにつれ、どろどろした世界につながっていく。古くからの地縁や血縁、閉鎖的な村社会、親が勝手に決めたいいなずけ、広海と由貴美の出生の秘密、10の大事な出来事から火事と葬式しか助けない村八分、異物を排除する目、老人たちが仕切る悪しきしきたりや風習などなど、"村"と言う限られた世界にうずまく恐ろしいものに翻弄されていく。まさに因習という感じ。ほんとに凄まじかった。
 「オーダーメイド殺人クラブ」を読んだ時も思ったけど、辻村深月氏の描く世界ってほんとうに広がってる。ともかく、この「水底フェスタ」の続きがほんとうに読みたい。広海がその後、なにをするのかがマジで気になる。ぜひ次回作を!!

cf. 辻村深月 読破 List
- 冷たい校舎の時は止まる (2004)
- 凍りのくじら (2005)
- ぼくのメジャースプーン (2006)
- 太陽の坐る場所 (2008)
- ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (2009)
- 光待つ場所へ (2010)
- ツナグ (2010)
- 本日は大安なり (2011)
- オーダーメイド殺人クラブ (2011)
- 水底フェスタ (2011)

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