「きのうの世界/恩田陸」を読んだ
最近ご無沙汰な恩田陸氏の小説。三茶のTsutayaで買って読んでみた「きのうの世界」<上/下>(講談社文庫)について。
こんな話。上司の送別会から忽然と姿を消した会社員"市川吾郎"は、1年後に、彼とは関係のない遠くの町の外れ"水無月橋"で刺殺体で発見された。その町は、1本が壊れている3本の塔が建っていて、その塔と水路があり、飛び地の丘がある不思議な構成の町だ。犯人は誰なのかと、不安が徐々に町に広がっていく...。
これ、ミステリというより異空間で、町にまつわる伝説や超能力といった、言い伝えを守るという純日本的な物語。必ず決まった時刻に犬の散歩をする老姉妹、ミステリとたき火が好きな少年、なぞの測定技師、レトロな喫茶店...。話も時系列を追わずに飛び飛びで進み、逸話も登場人物もコロコロと変貌しながら進むので、前半戦は正直わかりづらかった。それでも話はどんどんエスカレートして大きくなっていくし、異様な不気味さにジワジワとはまっていく感じ。
まさに恩田陸の世界を思いっきり堪能できる内容。読むにはパワーと忍耐力がいるけど、好きな人にはたまらない作品だと思う。
cf.恩田陸 読破 List
- 光の帝国 常野物語 (1997)
- 月の裏側 (2000)
- ネバーランド (2000)
- puzzle(パズル) (2000)
- ライオンハート (2000)
- ドミノ (2001)
- 図書館の海 (2002)
- ねじの回転-February Moment (2002)
- 蛇行する川のほとり (2004)
- Q&A (2004)
- 夜のピクニック (2004)
- ユージニア (2005)
- 蒲公英草紙 常野物語 (2005)
- エンド・ゲーム 常野物語 (2006)
- 朝日のようにさわやかに (2007)
- 木漏れ日に泳ぐ魚 (2007)
- きのうの世界 (2008)
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