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Tuesday, May 29, 2012

「あなたの本/誉田哲也」を読んだ

Tetsuyahonda_anatanohon ずーっと読み続けてる誉田哲也氏。今回は世田谷中央図書館で借りて読んでみた最新刊「あなたの本」(中央公論新社)について。
 7つの予想外な話が収録されている。
 ・「帰省」:
 幹子は、都会に出たいという理由で村を出たものの、元彼のヒロにつきまとわれ、風俗で働かされたうえ、理由なき暴力をヒロにふるわれていた。そんなある日、川の土手で幹子はヒロともみ合い、階段からつき落としてしまった...。
 ・「贖罪の地」:
 山の中で狩りをして暮らす男2人と女1人、そして少年1人は、原始的な生活をしていた。そんな彼らを、"卵"ような堅いものから生まれた白い男が見守っていた...。
 ・「天使のレシート」:
 コンビニで働く"天使"という名前の女性に恋心を抱いていた中3の芳照は、ある日川原で彼女に出会った。芳照は、大学で宇宙の果てがどうなっているか知りたいと彼女に夢を語っていたが、優しく聞いていた彼女が豹変して怒り出した...。
 ・「あなたの本」:
 吉川は、国語の教師をしていた父親の書斎にあった"あなたの本"をみつけた。その本には、吉川が産まれてから今日までのことのみならず、その先のことまで書かれてあった...。
 ・「見守ることしかできなくて」:
 小学生の俺は、スケートの体験教室で、プロを目指すユウナと出会った。中学生となり、別のスケートクラブに移ったユウナと再会した俺は、優勝を目指すユウナを見守っていた...。
 ・「最後の街」:
 ミュージシャンとして大成功した男は、目指すべきものがなくなってしまい、"この世の果て"を目指す。その手前にある"最後の街"で出会ったお店の主人は、"この世の果て"から戻ってきたものは今まで1人だけで、その1人もずっと意識を失っているという...。
 ・「交番勤務の宇宙人」:
 前任の早田隊員と代わり、地球の警備担当駐在員になった光の星星人の"私"は、地球名で諸星団吉を名乗っていた。日本では自分達の活躍がTVで放映され、大人気だと聞いていたが、実際は誰も宇宙人の存在に気付いていなかった...。
 これ、どの話も最後に大どんでん返しが待っていて、ほんとにびっくりした。そのどんでん返しも、心あたたまる話もあったものの、基本的には陰湿だったり、夢も希望もなかったりと、今まで読んできた誉田哲也氏の作品では、相当異質。ある意味、ダークファンタジーも書ける誉田氏らしいといえばそうなんだけど、ともかくビックリ。
 予想外の結末に、いい意味で完全に裏切られた7つの短編集だった。

cf.誉田哲也 読破 List
- 妖の華 (2003/2011)
- アクセス (2004)
- 春を嫌いになった理由 (2005)
- 疾風ガール (2005)
- ジウI 警視庁特殊犯捜査係 (2005)
- ストロベリーナイト (2006)
- ジウII 警視庁特殊急襲部隊 (2006)
- ジウIII 新世界秩序 (2006)
- 月光 (2006)
- ソウルケイジ (2007)
- 武士道シックスティーン (2007)
- 国境事変 (2007)
- シンメトリー (2008)
- 武士道セブンティーン (2008)
- ガール・ミーツ・ガール (2009)
- 武士道エイティーン (2009)
- ハング (2009)
- インビジブルレイン (2009)
- 世界でいちばん長い写真 (2010)
- 歌舞伎町セブン (2010)
- 感染遊戯 (2011)
- レイジ (2011)
- ドルチェ (2011)
- あなたの本 (2012)

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