「サクラ咲く/辻村深月」を読んだ
ぼちぼち読んでる辻村深月氏。世田谷中央図書館で借りて読んだ「サクラ咲く」(光文社)について。
これ、図書館のサイトで予約して借りたんだけど、あまりにロリ的な表紙でドン引きした。この本、中学生向けだったのね...。とりあえず、せっかくなんで読んでみた。これ、3つの話が収録された小説。それぞれ、こんな話。
・「約束の場所、約束の時間」:
中2の陸上部員 武宮朋彦は、自分とはタイプが違うもの静かな転校生 菊池悠が落とした100年先のゲームの攻略本をひろい、悠に興味を持つ。やがて2人は、立ち入り禁止の学校裏の遺跡発掘現場で、一緒にゲームをするようになる。悠との出会いと友情は、朋彦を変え、悠のためにある決意をするようになった...。
・「サクラ咲く」:
自分の意見を主張できず、頼み事を断れないなど思っていることをなかなか言えない中1の塚原マチが主人公。ある日、学校の図書館で借りた本をめくっていると、"サクラチル"と書かれたメモを見つけた。その後も何度か同じようなメッセージを見つけたマチは、勇気を出して、返事を書いた。やがてその書き主とメモを交換するようになる...。
・「世界で一番美しい宝石」:
部に昇格することを願っている映画同好会の高1の一平は、"図書室の君"と密かに呼ばれている美しい高3の立花亜麻里をヒロインに映画を撮りたいと考え、勇気を出して亜麻里に依頼するも、あっけなく出演を断られる。あきらめずに何度もお願いしているうちに、彼女が小さい頃に読んだきり、どこへ行っても見つからない本を探し出したら考えてもいいと言われるのだが...。
個人的に面白かったのは、「世界で一番美しい宝石」。中高と言えば、黙々と勉強をやってたり、本や映画が好きな奴よりも、スポーツが得意とか、ひょうきんで人を笑わせる奴のほうが、どうしても目立ってしまう世界。わかりやすい形で青春を謳歌しているほうが、絶対的に立場が上という世界だった。そこで文化系的な少年たちがいかに自分のいる場所を作ろうかとがんばるところが、共感できた。
それにしても、この小説は進研ゼミに連載されてたりと、ターゲットが完全に中学生。最初はちゃっちゃと読んじゃおうと軽い気持ちで読みだしたけど、結構面白かった。ま、ロリ的な表紙は勘弁してほしかったけど...。
cf. 辻村深月 読破 List
- 冷たい校舎の時は止まる (2004)
- 凍りのくじら (2005)
- ぼくのメジャースプーン (2006)
- 太陽の坐る場所 (2008)
- ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (2009)
- 光待つ場所へ (2010)
- ツナグ (2010)
- 本日は大安なり (2011)
- オーダーメイド殺人クラブ (2011)
- 水底フェスタ (2011)
- サクラ咲く (2012)
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